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【そもそも映画を作っていることを公表しているのか】
脚本家を目指していることを公表した「OL」B子さん

入社当時から、私は隠さなかった。
同期達が「この会社で、役に立てるように頑張ります」「早く一人前の社会人になることが目標です」と声高々に叫んでいる中で・・・、

「目標は、脚本家になることです」と、淡々と答えた私。

その言葉に、配属先の部長、課長を筆頭に部員達も「なんでこの会社に来たの?」と、一瞬異性人でも見る目つきで私を見てきた。
「なんでって食べるために決まっているじゃん」
思わずそう言いそうになって、慌てて口をつぐむ私。
しかしうちの会社、入社一年目にして、いきなり合併。工事会社から急遽SE会社に変貌した。

元々、脚本と平行して土木?を勉強してきた私に課せられた仕事は、ネットワークSE。ITってなんだ、ネットワークってなんだ。IPアドレスって・・・。
そんな機械音痴の私が片手間にやるには、正直重い仕事だった。脚本の勉強をしたいのに、私の貴重な時間はIT技術の習得に費やされるばかり。

正直、しんどかった。
毎夜毎夜の残業。
0時回ってタクシーで家に帰れば、「さーて、これから書きますか」という気持ちになるわけがない。

従って、だんだんと脚本家になる夢を諦め、普通のサラリーマンに落ち着いていきそうな生活スタイル。
だけど、最初に「脚本家になる」と言ってしまった手前、なんらかの行動を起こさなければ、嘘になってしまう。

それに、会社なんて面白いネタに飢えているのが常々。私の脚本家ネタはいつの間にか皆の知るところになり・・・。
そうなると、ますます何かしなければいけない。

追い詰められた私は、土日の空いた時間に創作活動をすることに。 もちろん単に書いているだけじゃ、脚本家になるなんて夢のまた夢。やっぱり作品は読んでもらわなきゃ・・・。
でもコンクールじゃ道のりは遠い。
そこで製作会社に持ち込もうと考えたけど、パイプなんて素人の私にあるわけがない。スクールに行ってコネでも作るしかないのかと、パイプ作りでまたまた悩み。そんなこんなであくせくしているうちに時間ってすぐに過ぎ去っていく。
またまた会社に居る時間が長くなると責任も重くなっていくわけで。模索しましたね〜。
でも縁あって、ある人に出会って若干道が開け始めたわけです。

ところが会社、趣味程度に脚本家を目指している分には、全然優遇してくれるのに、やっぱり成果だすとまずいみたいですねえ。
会社のお局さんが組合の方に言っちゃったわけです。「B子さん、DVD作ったらしいわよ〜」と。

それからというもの人事から何気にチェックが入る入る。もちろん企業ではバイト禁止ですからね。
原稿料貰ってないのか否か。印税は?
人事の『ブラックリスト』に私の名前が記載されたのは事実。

うーん、やっぱり隠しておくべきだったかと・・・。
会社では猫かぶりの方がいいのかもとその時ばかりは思いましたね。給料も上がるしね。私は全く上がりません・・・。

でもなぁ、最終的に思うのはいずれこの会社を辞めて、脚本で食っていくんだと思い続けるには、まずは周りに大ほらでも告知しておかないと、自分自身が今の現状に満足してしまいそうで怖いっていうのがあります。

夢をかなえるには、リスクを背負って告知するのも一つの手だと考えますよ。
給料上がんないけど・・・。


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