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水無月朋子のお字書き講座

お字書き講座8 『映画にまつわる物語』

 えー…毎度まいどの水無月でございます。
前回まで映像脚本の書き方について触れて来ましたが、今回は個人的な作品全般の製作について、ひとりごとのように進めて行きたいと思います。ひとりごと…この単語やばいね。最近テレビに向かって話しかけてること多いしな。誰だ、そこで「ついに始まったか…」とか言ってるやつ!表へ出ろ!そのままずっと出てろ!私は出ないけど。だってー…おそとは寒いんだもん。

最近、被害妄想が激しくていけません。これも問題でございます。
ところで、私は日々飲んだくれ、たまに脚本を書いたりしながら、本サイトの『映画にまつわるものがたり』(以下『映画物語』と略)にもちょこちょこと書かせてもらっているわけですけれど、映画物語については「自由に書いてくれていいよ」という管理人さまの優しい心遣いに甘えて小説のような形を取ることにしました。
いわゆる半分はフィクション。嘘ばなし。でも半分くらいは実話…というような感じで。

 第一回目で「文章媒体の違い」について触れましたが、まぁぶっちゃけた話、アイデアの出し方やテーマ決め、キャラ決めは映像脚本も『映画物語』も同じなわけで、引き出しが増えればいいや〜くらいな感じで書いているわけですが、そんなことを言ってたら、管理人さまから「そこんとこの整理の仕方や構成、頭からケツまでの話の流れとか、作り方を書きやがれ!」というおふれがあったので…判ったよ。書くよ。(←このセリフは嘘。管理人さまはこんな話し方はなさいません。とても温厚で優しい人です・笑)

私が往々にして踏んでいるプロセスを順を追って書き出してみます。まず、『映画物語』というからには、テーマのひとつには『映画』が来ます。ですから、

【1】最初に、気に入っている映画を選ぶ。(第1のテーマ決め)

【2】その映画のイメージに、自分の書きたいものがどう絡んで行くかを考える。
⇒タイトルなのか、人物なのか、セリフなのか、状況なのか、という具体的なキーワードを決めると書きやすいと思われます。

【3】そのキーワードに自分の書きたいこと=2つめのテーマをうまく絡ませて、全体のイメージを作る。

⇒自分の過去のできごとでもよし、ラブストーリーでもよし、ミステリーでもよし、とにかく「自分の書きたい内容」と【2】でみつけた映画の中のキーワードを絡ませるわけです。

【4】イメージができたら、その話の中におおまかな起承転結をつける。

⇒何がどうしてどうなった→その後どうしてこうなった→その後結果はこうなった…というような。コラムやエッセイ的なものでしたら起承転結はあまり気にせず、勢いに任せてだだっと書いてしまっても構わないかも。だってほら、エッセイは日記だから。

と、まあそんな感じでしょうか。ただし、いくら『映画物語』とは言っても映画自体のストーリーをネタばれさせてしまっては興ざめになりますから、私自身、そのへんだけは気をつけています。
あとは全体を読み直して、誤字脱字・不適切な表現などを訂正(推敲の作業)すればできあがり。

  上にも書きましたが、私はこのコーナーを「自分の引き出し」として使わせてもらっています。5枚前後というボリュームは多からず少なからず。その中に話のエッセンスを凝縮して詰め込んで取っておいて、何かの時にその引き出しを引っかきまわして長編のシナリオに書き換えてみたり、別の作品に転用させたりするわけです。
最近では、この『映画物語』の「ろ」、<ローマの休日>で書いた内容をもう一度いじくりまわして一時間ものの脚本に書き直しました。その過程を上のプロセスに沿って具体的に振り返ってみるとこんな感じです。何かの参考にしてもらえればと思います。

第1のテーマ(映画)を「ローマの休日にしよー」と思いたつ。
飲み屋でバカ話をしていた時だったので、勢いに任せてもうひとつのキーワードを人に振ってしまい、「ガラス窓」というお題が出される。
映画の内容と「ガラス窓」という単語をひねくり回した結果(【2】の過程)、「外に出たい」というアン王女の境遇とガラスのこっち側で生活する境遇(病院での生活)がポッと浮かぶ。
勢いにまかせてべスパの二人乗りのシーンのことなどを考えていると、車椅子の二人乗り・棒つきアイスなどに行き当たる(【3】の過程)。
たまたま近くに検査入院する人がいたので、お見舞いを兼ねて取材に行く。
詳細が決まったので原稿を書く。(本来ならプロセスはここで終わり。ここからは後日談)
書きあがったものを前出の飲み仲間に見せたら「結末が気に入らない。ハッピーエンドにしたまえ」と強烈なダメ出しを食らう。
「そのうち書きなおそー」と思っている間に某局のシナリオコンクールの締め切りが迫り、ネタ切れだったこともあってこの作品を流用。一時間もののシナリオに書き換えるついでに結末も書きなおす。
そのまま郵送して現在に至る。

…って、もしかして、それってぱくり!?…って、こんなことまで書いちゃってよかったのか私!?
 まあそんな感じなので、どうかこれを見ているみなさま、どこかでそれらしき作品を発見しても黙って見逃してやって下さいね。

というわけで、ここまで続けてまいりました『お字書き講座』ですが、次回をもって終了となります。
最終回となる第9回では、「シナリオを書いたからにはどこかに出したい!」という方のために、応募先などにつ いてふれてみたいと思います。
よろしかったらもう少しお付き合い下さいませ。

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