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水無月朋子のお字書き講座

お字書き講座7 『体験談』

 ついに来てしまった第7回。一番やりたくなかった回ですわ。だってー、管理人さんが失敗談とか書けって言うんだもん。そんなみっともなことができるかい!とごねたにも関わらず「いや、普通のことを普通に書いててもしょうがないしね、やっぱ失敗を重ねて消去された上にこそ…(以下略)」というようなことを言われたような気が…あれ?言ってない? おっかしいなー。幻聴かな?それとも錯覚?(…と、ここで「ただの飲み過ぎじゃー!」ってな声が聞こえてきそう。それもあっちこっちから。そうさ、どうせアル中だよ。ふーんだ。)それこそが私の失敗って意見も大多数。うん。それは納得だけどさ。

話を戻しましょう。
私はもともと小説(のようなもの。ポルノまがいのもんじゃ。何か文句あっか!?)を長らく書いていて、そこからシナリオに転向したクチでした。ですから「エロけりゃ良し!」のしょーもないものばかりを書いていたせいで、映像脚本というものがまったく判っていなかったんですね。
ドラマ=ドラマティックという言葉があるように、映像作品には、平穏ではない、ドキドキするような展開が必要なのです。
けれど、それを判っていなかった私は、一発目の作品で、ト書きは長いわ、セリフは小難しいわ、起承転結もない代わりに一見読みやすい、というとんでもないものを書いてしまったのでした。

その原稿は当時通っていたテレビドラマ系脚本スクールの課題用に出したものだったんですけども、その時面接をしてくれた某局のプロデューサーは「読みやすいんだけどねぇ…」と苦笑いをしてからおっしゃいました。
「ドラマじゃないね、これ」
がびょーん。え?ドラマって何?何がどう違うの!?
今ならば小説と映像作品の違い(=読者と視聴者の位置づけ違い)も、ちょっとは判るようになりましたが、その当時は頭の中「???」でいっぱい。小説は作者ならではの文体や空気感で許されることが、映像作品では許されない。小説は、つまんなかったらそれっきり(出版社も困るけど…)で済むけれど、映像作品(テレビドラマ)は途中でチャンネルを変えられたらスポンサーが大激怒⇒局も大迷惑⇒2度と使ってはもらえない…ということになるのです。その瞬間、まさに私は映像作品の厳しい宿命の波に放り出されたのでした。じゃーん!(←昼ドラ的に)

そこで某局プロデューサー様から頂いた初めのい〜っぽ!のアドバイスです。何かの参考になれば…と思いますので掲載してみます。(しかしながらこれはテレビドラマ的な解釈なので、映画となると少し違うかもしれません。どうかそのへんはご了承を。…だってー。私、テレビドラマの勉強しかしてないんだもぉん。しょうがないじゃ〜ん!←殴殺)

● ドラマは明るい話の方がいい
  仕事終わって帰ってきて、暗い話なんか見たくもないでしょう?明るい話を書くことを心がけて下さい。

● 登場人物の気持ちが見えない
  一人一人の登場人物の気持ちが判るように書いて下さい。
例えば、主人公の友達がその主人公をどう思っているかとかね。観てる人が感情移入できないと結果としてつまんない話になってしまいます。

● 登場人物が魅力的じゃないと
  出てくるキャラクターがバカだと話にならないよね。
言葉が悪いけどバカとバカがどうこうする話じゃ面白くないよ。

● リアリティ
  あなた自身がしないような突飛なことを、登場人物にさせても現実味が出ないんじゃない?

● 謎を意識しすぎない
  最後まで謎の部分を明かさないで引っぱって、最後の最後で種明かしっていうんじゃ、見ている人を最後まで引き付けておけないし、それはある意味、見ている人をだましてることになるでしょう?

と、まあそんな感じでぼろくそ言われたのを今でも思い出します。
結局このPのお取り計らいで、何度かドラマの仕事をさせてもらいましたが、なんせまだまだ修行の身なので、「センセー、ここんとこどうやったらいいのー?」なんてことをくり返すうちに、仕事の話より雑談の方が多くなったようで、かれこれ二年あまりお世話になった今では、すっかり茶飲み友達(先生ごめん)のようになってしまいました。…ってだめじゃん。

…というわけで、ここまで脚本中心に進めてきましたが、次回はちょっと一息という感じで、作品製作に関するコラムにお付き合い頂ければと思います。ここまで来たらネタばらし(?)してしまえ〜という赤字決算。いい子揃えてまっせ、旦那!明日の朝一番から出勤させてるからちょっと寄ってちょうだいね。ちゃんちゃん♪

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