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水無月朋子の『お字書き講座』
お字書き講座1 『文章を書きたい人へ』

 と、いうわけで管理人の一喝によりコーナーを持つことになりました、カルフの給食係・雑用・家事手伝い兼、文筆担当のボンクラ字書き、水無月朋子でございます。
いや管理人さんたら何だってまたこんな暴挙に。いえ、カルフの中でも水無月が字書きだってこと知らない人がいるくらいですから。最近までロケ弁係だと思われてたし(実話)、某TV局のプロデューサーからは「大酒飲みの不良娘」って呼ばれてるくらいだしな。…でもね、フリガナなくても字、書けるんですよ、これでも。
閑話休題。こんなことばっか書いてるとさすがに管理人さんに怒られそうなので本題へ進まないと。
で、一山いくらで「文章を書く」と言っても、いくつかのジャンルに分かれています。さて、自分はどれをやりたいんだろう?どんな違いがあるの?という方もいらっしゃると思うので、まずはその中から「自分のやりたい分野」を探して頂きたいと思います。

《文章媒体の種類と特徴》

● 映像脚本:いわゆる「シナリオ」と呼ばれるもの。映画やドラマの基本になるもので、大別して「原作から シナリオの形に書き起こす場合」と、「オリジナルで書く場合」のふたつに分かれる。どちらも映像作品の主軸になることはあっても、その後、監督の意向や役者の要素などによって自分のイメージしたものとはかけ離れた作品になる可能性は残る。つまり「シナリオで自分の世界観を表現したい!」と思っても無理というもの。そう思われる方は「監督・脚本」として監督業から始められることをお勧めします。

● 舞台脚本:舞台でやるお芝居の主軸となる「台本」と呼ばれるもの。映像脚本との違いは、カメラワークが使えず、目線の転換ができないため、客席からの視点で書くことと、舞台演劇自体に「間」を嫌う体質があるため、セリフの量が多く(ト書きが少なく)、セリフの掛け合い、センスが問われるという点。その代わり、作品によっては『俺は魔王だ!』とか『私はにんじん!』といったような映像作品では絶対に不可能な擬人化(擬態化)もセリフひとつで難なくクリア、という面白みもある。作品を作る上で演出家の意向や役者の個性によって左右されることもあるものの、映像作品より自分の世界観、個性を出しやすい。

● 小説:本屋でデカい顔をして幅を利かせているやつら。いわゆる『文章でつく大きな嘘の世界』。自分はこう思った、こう感じた、というような心情描写や、「陽に透ける若葉の葉脈が…」など、細かな状況描写ができることが脚本との大きな違いであり、出版社の手を通した場合には多少の校正はあるものの、自分の世界観のみで構成・完結するため文体やテーマなど、書き手によってそれぞれに個性が出せるのが特徴。私小説をはじめ、サスペンス、ラブストーリーなど無限に可能性のあるジャンル。

● ルポタージュ:興味のある事件・できごとなどの「事実」を細かく取材し、周知に知らしめるための媒体。
新聞記事やジャーナリズムがこのジャンル。脚本・小説が物語的(虚構、いわゆる嘘っぱち)であることに対して事実状況を誠実に伝える。私的感情を記述することはできないが「自己表現より探究心!」という方には向いているかも。

● インタビュー:特定の相手からテーマに沿った話を引き出し、ランダムに話した音声内容を文章に書き起こしたもの。「自己表現として書く」というより、「いかにして相手との距離感をすっ飛ばして話を聞き出すか」に重点が置かれるが、読み手にとって読みやすい文章にまとめることもまたポイント。

● 字幕翻訳:既存の作品に訳を付ける作業。母国語以外の言語能力も必要だが、日本語の能力も必須。決められた文字数内で映像と合致したセリフを探して行く点については映像脚本との類似点も多い。

● コラム・エッセイ:与えられたテーマに対して「自分はこう思った、こんな見方もある」と、何でも自由に書いてしまえという、いわゆる「日記」、あるいは「独り言」的な読み物。読み手の興味に引っかかり、「へえぇ〜」とでも思わせればそれでよし。ただし、すべってしまった場合は「あっそ…で?」とばかりに読み捨てられてしまう問答無用・無制限一本勝負、一歩間違えると「お母さん、私出稼ぎに行ってきます」くらいのことを言いたくなってしまう(かも知れない)薄幸なジャンルでもある。

…というわけで、何だかよく判らない始まりとなりましたが、カルフが映像制作を中心に活動していることと、私自身が某局の脚本養成校出身ということもありますので、次回からは襟を正して『映像脚本』について進めて行きたいと思います。
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