シドニーで製作した最後の作品 “ WILL ”を、目標としていた映画祭トロップフェスタへ応募した。
ビザの関係上、僕は日本へ帰国しなければならなかったので、もしベスト16に入選していたら、ここへ戻ってこようと決意した。
帰国1週間前の12月16日
この日はプロデューサーであるルークから、子供達の世話を見て欲しいので予定を空けておいてと言われていた。
12月15日の朝
友人のマークから久々に映画を見ようと誘いの電話があり、次の日の心配もあったが、マークにお別れの挨拶とお世話になったお礼を言おうと思い、遊びに行った。
12月15日の夜
マークといつものように、映画を見てはお互いの夢を語った。遅くなったので、結局マークの家に泊まった。
12月16日の朝
ベビシッターを頼まれていたので、急いで帰宅した。
僕は、玄関を開け、「ごめん、ちょっと遅れた」と言いながら、リビングのドアを開けた瞬間、、、
「サプラーイズ!!」
という声が家中に響き渡った。
そこには、仕事先のボス、撮影現場で仲良くなった友達、一緒に映画製作をしてくれたスタッフや役者さん、学校の友人など、40人近くがいた。
僕は、驚きと今まで味わった事の無い感動に包まれた。そしてとてもすばらしいパーティが始まった。
サプライズパーティを計画してくれたルークの家族やマークにとても感謝している。
日本帰国前に、一生に残る思い出ができた。
(日本へ帰国)
日本帰国後、3週間がたった頃、ルークから連絡があった。
トロップフェスタの結果が出たのだ。
残念ながら、僕は再びオーストラリアへ戻る必要はなかった。
こうして僕の「海の向こうでの映画作り」は静かに幕を閉じた。
「まー、こういう時もあるよ」とルークは励ましてくれた。
そして電話を切る前に、「あの言葉を覚えてる」と僕に聞いた。
そう、サプライズパーティが終わり、ルークと二人きりで庭にあるベンチに座り話しをしていた時、ルークは僕に、最後のアドバイスをしてくれた。
“ Be in an action. ”
「行動しろ。」
僕の映画作りは、ここ日本でまた始まる。