超初心者のための映画制作講座

海の向こうで映画を作る!

鈴木英之 8 Moment Enterprise

26:LAST FILM MAKING 3 最後の映画製作3

撮影日の朝、雨が降っていたが僕の心は晴れていた。

なぜなら、撮影監督であるピーターボロッシュが本気で参加してくれたのだ。
まず、業務用カメラ(今までの倍はあるカメラだった)を手配してくれて、ステディカムやモニターの用意もしてくれた。

※ステディカム Steadicam
簡単に言うと手持ち撮影なのだが、カメラを身体に固定させ、30キロはある重りを装着する事により軸を安定にさせ、ブレを防ぐ撮影方法。

ピーターは、ステディカムを使用して、徐々にアルツハイマーになっていく主人公の心の乱れを見事に表現してくれた。
(例)ショーンペン主演の “ I AM SAM “ でもステディカムをうまく利用して、障害を持つ人達の感情を表現している。

クリント・イーストウッドと仕事をした事がある主演のチトさんは、今回見事にアルツハイマーになっていく役を演じてくれた。
撮影当日、トイレの一つが改装中で使用できなかったのだが、その中でチトさんは一人になり、役作りに集中する事ができたと言っていた。
今回はまったくの偶然だが、役者が役作りできる撮影環境はとても大切だ。

そして、今回もっとも良い経験になった事は、プロデューサーであるルークが僕と一緒に監督をしてくれた事だった。
撮影中、監督は本当に忙しい。役者への演出、撮影監督とカメラワークについて話し合い、助監督へ次々と指示を出さなければならない。
二人監督がいるとデメリットもあるが、撮影中、作品を客観的に見れる余裕が生まれ、2倍アイディアが浮かぶというメリットもある。

(例)ルークから聞いたのだが、ロード・オブ・ザ・リングのピーター・ジャクソン監督ですら、撮影中、何度か頭が真っ白になり、自分が何をしているのか分からなくなったと言っていた。
ただパート1から3まで同時に撮影したロード・オブ・ザ・リングは一体どのくらいのショット数があったのか想像すらつかない。



映画を作るためのルークの教え:14

ルーク
●さらに、一工夫する大切さ

弟が、死んだ兄の事を思い出すシーンがあった。
最初は、弟のアップショットとボイスオーバーのみだったが、ハンディカムで撮影した兄弟の思いでのショットを追加した事により、見事に兄弟愛を表す事ができた。

※ボイスオーバー Voice-Over(V.O) 画面に現れない話者の声


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