超初心者のための映画制作講座

海の向こうで映画を作る!

鈴木英之 8 Moment Enterprise

13:SHOOTING 撮影(後半)

最初の撮影は、この映画の最後のシーンからだった。

映画では、予算や俳優さんのスケジュールを考えて、ストーリの展開通りに撮影する事(順取り)はないと知っていたが、実際に演出する難しさを肌で感じた。
予算の都合、撮影は1日で撮り終えないといけない。
今回の作品の尺は約7分であり、時間を考えると1日で撮影できるぎりぎりの時間だった。
しかもここオーストラリアでは、日本と違い労働時間をすごく大切にする。

「通常、1日で撮影できる時間は、映画(フィルム)3分〜5分、TVドラマ(デジタルカメラ)7分〜10分と言われている。」


(撮影エピソード)
最初のシーンの撮影で、僕は16テイクをしてしまった。(ああ、時間がないのに〜)
僕が持つイメージと、俳優さんの演技が一致しないのだ。
しかし、スタッフと役者全員は、僕の「アクション」「カット」「OK、次いこう」という言葉を待っていた。
時間が無い焦りと、どのように演出すべきかという心中で、撮影は行われていった。


(撮影エピソード)
カメラが回っているあるワンシーンで、俳優さんの演技を見ながら、考え事をしてしまい、「カット」と言い忘れた。
俳優さんは、シーンが終わってもカットと声がかからないので、アドリブで演技をしてくれた。(俳優魂を感じた)
スタッフ全員が僕の方を見ていたので、あっと思い、カットと慌てて言ったが、ルークに「みんな知ってるよ」と言われ、全員に笑われた。


(撮影エピソード)
今回の撮影監督ピータ・ボロッシュは、ここオーストラリアで受賞経験があるプロ中のプロであり、その技術はまさに職人芸と言えるものだった。

映画のシーンは、様々なポジションや角度で撮った絵で構成されているのだが、例えば日中に屋外で撮影したとする。
その際どうしても影が動いてしまい、編集で絵と絵を繋げる時、矛盾ができてしまう。
撮影監督は、常に太陽の位置や時間、屋内で言えば照明等、とても細かい事を気にして撮影をしている。それらの技術を真横で見れた事は、とてもすばらしい経験になった。


“ Wrap ”(「ラップ」とは、撮影終了を意味する)

と喜びいっぱいに僕は叫んだ。
天候や幾多のトラブルがあったが、なんとか無事に撮影を終えた。
僕は、みんなと喜びを分かち合い、お礼を言い見送り、そのままバッテリーがきれたかのようにベットに倒れた。

(ちょっと長くなってしまったが、ここで「ルークの教え」を書きます。)


映画を作るためのルークの教え:8

ルーク
●すべてのシーンで、WSとMSとCUを撮っておこう。
(WS=ワイドショット、MS=ミドルショット、CU=クローズアップ)

自主映画を撮った経験のある方はご存知だと思うが、編集時に
「なんでこの角度のショットを撮らなかったんだろう」
「もうちょっとこのシーンに間がほしいな」
などと後から後悔の念が湧くと思う。

そのために、ワイドショットやクローズアップなど、同じ絵を様々なポジションで撮影しておくと、シーン全体にメリハリをつける事ができる。


映画を作るためのルークの教え:9

ルーク
●コンティニュアスを意識しよう。

映画では、ストーリの展開通りに撮影する事はめったにない。
だからシーンの前後を考えて撮影する必要がる。
ある有名な映画で、主演女優が川に落ち、場面が変わり、彼女は川から上がっているのだが、まったく濡れていなかったというシーンが話題になった。
このようにプロの方でもミスがある。







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