帰国2週間前、僕はある事を決心していた。
一時期、シドニーにある映画専門学校への入学やアメリカへの留学を考えていたが、
マークのプロデューサーであるルークは、
「もし何百万というお金を払って学校へ行くなら、僕に半額払って、僕のプロダクションで勉強する事をお勧めするよ」と僕に冗談を言った。
学費の事やアメリカにはまったくコネが無い事などで悩んでいたので、これを聞いた時、僕は勝手に本気にしてしまい喜んだ。
ただ貯金もほぼ尽きていたのと、日本がとても恋しかったので、一時帰国する事にした。
1年後、しっかりお金を貯め、今度は英語ではなく、映画のために来ようと決めた。
帰国三日前、マークの家に行った。
マークには本当にお世話になったし、とても感謝している。
マークから外国での生き方を学び、英語を教わり、様々な撮影現場に誘ってくれて、そして何より
「海の向こうで映画を作る」という道を開けてくれた。
マークと最後の日もやっぱり深夜遅くまで映画を見て、映画について語った。
そして1年後の2006年6月に戻ってくる事を約束した。
2005年5月18日、日本へ帰国するのだが、
1年後、僕の映画作りが急展開するとは、この時知る由もなかった。