撮影は終盤に迫り、水着の美女や巨大な氷の白鳥がでてきた。
次々進む展開に僕は完全に心を奪われていた。
だが、次の瞬間、我に返った。
マークがプロデューサーを紹介してくれた。
プロデューサーは、僕の方へ手を差し伸べて、とてもフレンドリーに「今日は、来てくれてありがとう」と言ってくれた。
まったく心の準備をしていなかった僕は、一気に緊張が高まった。
しっかり気持ちを伝えたかったが、実はなんと言ったのかまるで覚えていない。
初めての撮影現場は、あっという間に終わり、すごく良い経験になった。
「百_は一見にしかず」というが、本当の撮影現場を肌で感じる事がとても大事だと思った。
それから2週間後、僕はマークと一緒にインディアンレストランにいた。
そして僕の横には、あのプロデューサーが座っている。
他にスタッフの方が6人ぐらいいて、何やら打ち合わせをしているが、彼達の早い英語にまったくついていけず、ニコニコしていた。
ふと、プロデューサーが僕にゆっくりと質問した。
"Where are you from, Hide?"
僕は笑顔で、、、
"I AM JAPAN !!"
と答えた。
そこにいたスタッフ全員の視線が僕に集中したのは、言うまでもない。
前回といい、僕は本当にアドリブがきかない。
ただ、こういう失敗から、徐々に英語に慣れていくのだと思う。
まずは、何も考えず、その環境に飛び込んでみるしかない。