次の日、僕はまたイタリアンレストランの前にいた。
一番優しそうなスタッフに目星を付け、入り口に近づいて来た時、話しかけようと待っていた。
20分が過ぎた頃、そのタイミングが訪れた。
僕は、そのスタッフめがけて、ひたすら歩き始めた。
その時の僕は、どんな顔をしていたのだろう。
今振り返るとストーカーのように思える。
“ Hello, my name is Hide. Can I have a job? “
スタッフは、僕の問いに何か答えてくれたが、早すぎる英語で意味がわからなかった。
僕は、” YES YES “ と笑顔で頷き、分かっているふりをしたが、
そのスタッフの表情から “ NO “ だと言う事を読み取れた。
僕はその場を去った。
その後、何件かお店を回ったが、仕事にはありつけなかった。
新聞に記載されている求人情報にも目を通し、電話をした事がある。
オーストラリアの求人情報は、あまり詳しく書いていないというか適当である。
会社名や仕事場所の記載がない場合もある。
でもこのアバウトさが好きである。
何件か電話をした後、ある事に気がついた。
僕はリスニングが極端に苦手だったため、
電話越しでは相手の内容が1割も理解できない。
この方法では仕事を見つけるのは、不可能だと悟ったのだ。