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現場にて

談話:助監督×工房の主人

現場の音声さん
助監「片手でマイクポールを、もう一方の手で長いコードを持つ。これが俺のスタイルになってきたな。」
主人「長時間持ってると結構腕痛くなるだろ。」
助監「体育会系の俺なら大丈夫。」
主人「だからお前に頼んだんだよ。」
助監「マイクは、現場ではいつも最後に登場!なんだよな。」
主人「セッティングがね。」
助監「まず監督から役者に演技の指示が行って、それからカメラがセッティングされる。マイクは最後に、カメラに映らなくてしかもなるべく役者の口に近付ける場所を探す。」
主人「学習してるじゃねえか。」
助監「画面にマイクとか俺が入ってなくても、影が地面についてたり、あと車のガラスに思いっきり映ってたり、結構大変なんだよ。」
主人「大事な存在なのに、近寄るな!って扱いだよな。笑」
助監「そうそう。」
主人「で、実際撮ってみてどうよ?」
助監「んー、難しい、のひと言だな。」
主人「うん。俺も何年も映画作ってるけど、音声はやっぱり難しいと思う。」
助監「機材が揃えばそれで済むわけじゃない、ってとこが問題。一応、レベルは別として必要な音声機材はひと通りあるんだもんな。」
主人「最低限のことはできる、って言い方が正しい。ほんとは音のレベルメーターとかほしい。」
助監「プロのひとが腰につけてるやつね。収録する音を一定レベルに保つためのやつ。」
主人「そのうち、プロみたいに音に詳しい人と知り合うのを期待してるんだ。」
助監「のん気だなあ。」
主人「今までもそうやってやってきた。俺は運命論者でね、必要な人は必要な時に知り合うもんだよ。」
助監「俺もたまたまお前に連絡したら、映画のスタッフになっちゃったもんな。」
主人「ちょうどパシリを探してたから、ちょうどよかったよ。」
助監「ん?何か言ったか?」
主人「ううん、何でもない。」

覚えておくべきこと
主人「セリフを撮る時に注意してることは?」
助監「まずマイクと役者の距離をなるべく一定にして声の大きさを統一する。」
主人「カメラ側の音量設定も、毎回きっちり同じにしてある。」
助監「あと、マイクの設定は、ワイドじゃなくてガンマイクにしてる。」
主人「音を拾う範囲を狭めるためな。」
助監「それから、マイクは必ず役者の口よりも前にもってくる。背中側から声を撮ったらくぐもっちゃうから。」
主人「そうだな。」
助監「お前にしょっちゅう言われてたのは、あれだな、追加できる音はなるべく撮るなってことだったな。」
主人「よしよし、ちゃんと覚えてるな。」
助監「足音とかラジオつける音だとか、携帯の音だとか車のドア閉める音だとか。」
主人「そんなのは編集の段階でいくらでも追加できるからな。現場ではとにかく役者の声を撮ることに専念する。」
助監「逆にやっときゃよかったーって反省してるのは、周りの音の収録。」
主人状況音ってやつな。それ分かってるんだけどねー、分かってるんだけどどうしても後回しになってそして忘れてしまう。」
助監「撮影現場はとにかく時間がないよなー。」
主人「撮影はとにかく急がないといけない。通行人は来ちゃうし、太陽は雲に隠れちゃうし、警備員は来るし、警察には通報されちゃうし、警備員に怒られそうになっちゃうし、てゆうか実際に怒られちゃったし、一旦撤収したフリをしてまた戻ったらまた出会っちゃったし、それがまた同じ警備員で困っちゃったし、言い訳できなかったし、今度こそほんとに事務所に連れていかれちゃったし、始末書を書かされちゃったし、支払いまで要求されちゃったし、てゆうかあの警備員うるさいんだよ、ちょっと撮影してただけじゃねえか、今度会ったらただじゃすまさん!あームカついてきた!!」
助監「ただじゃすまさんって…どうするの?」
主人「また撮影してやる!!」
助監「とにかく「セリフだけはきっちり撮る」を頭に入れておけば、映画はきちんと完成する。」
主人「初心者ほど、細かいとこに気が散り過ぎるが、とにかく映画は完成させなきゃ意味がないのだ。」
助監「お前は細かいところを気にしなさ過ぎだけどな。ま、でもその…状況音?があれば、編集の時にかなり役立つ。」
主人「そう。ただ役者が歩いてしゃべってる映像でも、そこに風の音や足音、服がずれる音を加えていくと映画っぽくなってくる。」
助監「その辺は編集者が楽しんでるとこだな。」


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