編集作業の大きな流れ

さて、編集ソフトという台所の機能がざっくり分かったところで、
今度は台所の使って料理をする流れについて、お話しします。

例によって、まずは実際の料理のお話から。

スーパーに行って買い物をしてから、料理をして、そしてお皿に盛りつける。
この流れを考えてみましょう。

考える、と言っても、日頃無意識にやってることですからね、
改めて考え直してみましょう、が正しいですね。
分かりやすいように、カレーを作ってみます。

あ、僕は料理は専門じゃないので、ものすごく単純化してますからね!
「そこで○○を入れるとうまいんだよ」的なご意見はいらないですからね!!


【1】大きなビニール袋を2つ3つ下げて、スーパーから帰ってきます。
 ビニール袋には、お肉やら野菜やらが入っています。

 で、買ってきたものを保管します。冷蔵庫に入れたり、冷凍庫に入れたりします。
 ものによっては、冷蔵庫に入れないものもあります。

 こうやって、目的に応じて保存する場所を使い分けてますよね。
 同時に、大きなものを奥に入れたり、牛乳なんかは扉側に入れたりします。


カルフの編集講座

【2】さて、料理をするにあたり、必要な材料を調理台に持ってきます。
 図で言うと、「素材置き場」に持ってくる、という感じですね。
 ここではまだ、素材そのものをゴロッと並べます。

 例えば、タマネギ一個、にんじん3本、じゃがいも2個。
 牛肉もパックに入っています。


【3】「素材置き場」から一つ一つ材料を取り出して、
 「まな板」に載せて、包丁でカットしていきます。

 じゃがいもをまな板に載せて、道具は、そうねえ、皮むき器を使いましょうか。
 その後は包丁で、さいころ大に。

 タマネギは、まずは手で皮をむいて、その後包丁でざくざく切っていきます。
 え?涙は出ないのかって?
 …そういうのは無視です。

 一通り素材をカットすると、それまで素材そのままが
 ゴロリと入っていた「素材置き場」は、カットされた使える素材が
 並んだ状態になります。
 ちょうどイラストのような状態ですね。


【4】材料がカットできたところで、鍋を火にかけます。
 ここで言う鍋、とはイラストの真ん中の大きな「味見鍋」のことです。
 これがメインですね。

 この「味見鍋」に、次々素材を放り込んでいきます。
 まずタマネギを炒めて水を注ぎ、次にじゃがいも、にんじんなどを入れます。
 あとはグツグツ煮ます。

 そして、ふと気付くわけです。
 じゃがいもだけが火が通ってないんじゃないか、と。

 そこで「素材味見鍋」の登場です。
 左上の小さな鍋ですね。
 ここに、じゃがいもだけ取り出して様子を見ます。

 お、やっぱり火が通ってない。
 ちょっとじゃがいもを大きく切りすぎたみたいです。

 で、まな板にじゃがいもを置いて、包丁を使って半分にします。
 その2つをまた味見鍋に放り込みます。


【5】ここからは味付けです。
 カレールーを入れます。
 「調味料」にカレー粉なんかを用意してて、
 そこから味付けをする人もいるかもしれません。

   冒頭で「ここで○○を入れるとうまいんだよ」的な発言はやめてくれ、
 と人を制しておいて、実は僕から言っちゃいます。
 ここで広島風おたふくソースを入れるんです。
 だって広島人ですから。
 カレーの味が、少し広がります。
 この「調味料」の棚も、人によって違うでしょうね。

 塩、砂糖、酢、こしょう、味噌…みたいな超メジャー級の調味料は
 どこの家庭にもありますが、
 カレー粉、パプリカ、バジル、食用酒、ハーブあたりを
 置いている家庭もあるでしょう。
 さらに、サンバル、ナツメグ、豚骨、柚子味噌、フォメ・ド・ポワソン、
 あと広島風おたふくソース…
 みたいなものは、ちょっと料理にこだわる家庭向きかしら。

 最後のだけ、ちょっと違うんじゃないか、というご意見には耳を貸しません。


【6】さあて、いい匂いがしてきました。
 ランドセルを背負いながら家に近づくと、匂いで「あ、今日はカレーだ!」と気付く、
 といった日々を思い出します。

 料理ができあがったので、おさらに盛りつけます。

 と、ここで、著者は大変なことに気付くのです。
 カレーを例えに使うんじゃなかった…と。

 カレーライスを食べるには、炊飯ジャーでご飯を炊かないといけません。
 そもそもご飯を炊いてないし、炊飯ジャーと編集の仕方をどう絡めるか、が難しい。

 いやいや!皆さんよおーく冒頭を読んで下さい。
 僕は「カレーを作る」と宣言してます。
 決して、カレーライスを作るんじゃないんです!
 というわけで、ご飯なんて知りません!
 お皿に盛りつけるのは、カレールーだけです!

 これでできあがりなんです!
 やったー!おいしそー!!(無理矢理)



すみません。
すっかり長くなりました。

ここからお待ちかね、編集の講座が始まります。
編集作業と、これまでお話しした料理の作り方を、オーバーラップさせて説明しますね。


カルフの編集講座

【1】映像をPCに取り込む(スーパーで買ってきたものを台所に整理する)
 ビデオカメラとPCをケーブルでつなぎ、撮った映像を取り込みます。
 最近は、ハードディスクカメラなんてのもありますから、
 そもそもデータを移し替えるだけの場合もあります。


【2】映像や音声の素材をソフトに取り込む(台所の調理台に並べる)
 編集ソフトを立ち上げ、PC内に取り込まれた映像素材の中から、
 必要なものをピックアップして、「素材置き場」に取り込みます。
 まあ、PCに取り込んだものを全部、そのままここに持ってくる、
 というのが僕は多いですが。

 ここでは、15分、とか30分とかのゴロッとした映像素材が並んでるだけです。


【3】タイムライン上で、映像素材をカットする
  (まな板に素材を置いて、包丁でカットする)
 素材を一つ一つ取り出して、皮を剥くがごとく、素材のいらない部分を
 カットしていきます。
 例えば、「よーい、スタート!」と監督が言ってから役者が動き出すところまでを
 カット。
 演技が終わってから「はい!OK!」と言うまでをカット。

 これを、一つ一つの映像素材に対して行います。


【4】映像素材を並べ替える(鍋に素材を順番に放り込む)
 加工した映像素材を、まな板の上に順番に並べていきます。
 料理の例えでお分かりかと思いますが、③と④は別にどっちがどっちでも
 順番は構いません。
 好きずきです。

 ちょっと料理と違うのは、まな板と鍋の関係です。
 編集ソフトでは、まな板(タイムライン)に左から順番に並べると、
 鍋(モニター)で確認ができます。


【5】味見をしながら、素材を加工していく(調味料を入れたりかき混ぜたりする)
 モニターで見ながら、映像のつながりを加工します。
 例えば、映像の切り替わりが間延びしていたら、もう少しカットして
 スムーズにつながるようにしてみたり。

   映像が、黒い背景からジワーッと始まり、また最後はジワーッと
 フェードアウトして終わる、みたいなことも
 可能です。


【6】完成したら、テープに書き出したり、DVDにしたりする(皿に盛りつける)
 映像を編集した後に盛りつけるお皿。
 映像の世界ではフォーマット、と呼びますが、いろいろあります。

 miniDVテープに書き出すこともあれば、DVDに焼くこともあります。
 データをファイルとして書き出して、ネット上で流すことも増えてきましたね。

 映像屋さんは、いろんなフォーマットに変換できる環境を持っていた方が
 いいかもしれませんね。



さて、以上、編集の作業の全体像をお話ししてきました。
次回からは、それぞれの細かい作業を見ていきます。


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