僕自身の過去の映像ソフト遍歴(2)

でも、映画が作りたくなってしまった。
おそるおそる撮影を再開しました。

同時に、できなかった原因を考えました。
ビデオカメラはきちんと撮影できる。おかしくなさそう。
PCも、他はきちんと動きます。おかしくなさそう。
編集ソフトも、書き出し機能だけおかしい、というのはないと思う。

となると、おかしいのはやはり、使い方。
僕が間違ってるんだ、と。


この頃の僕は、「機械が壊れる」ということは現実には起きない、と信じてたふしがあります。
もう一つは、自分の「PC知識」に劣等感があった。
つまり、「僕が悪いんだ・・・」という気持ちが常にあったのです。

不幸なことに、周りに、編集ソフトはもちろん、PCを教えてくれる人もいなかった。
僕は、気持ちを入れ替えて、ものすごい抵抗感を押さえつけて、
ソフトの「ヘルプ」を一行残らずじっくり読むことにしました。

そして、その通りに1ステップずつテスト映像を編集してみたんです。

書き出せた時は、小さく叫んだと記憶してます。

その前に書き出せなかった原因は何だったんでしょうか。
未だに不明です。
とにかくサポートセンターの方の方法をすべて試して、それでダメだった。


その後、それでもなんとかなんとか使い方が分かるようになっていくんです。
とにかく、無駄な作業の繰り返しでした。
触ってみて失敗、分からなくてボタンを探しまわる・・・


ようやく、一本の作品ができあがりました。
PCで編集した、初めての作品です。
『俺にかまうな!』
これは、東京ビデオフェスティバルで、入賞します。


しばらくして、友人からPremiere(プレミア)という編集ソフトを紹介されました。
体験版をもらい、PCに入れました。

ソフトを立ち上げてみて、びっくり!

ボタンが、多い。そして、ボタンが一つ一つちっちゃい。

しばらく眺めて、これは僕には無理だ、とソフトを閉じました。

でも、映画を作っているうちにやはり、
ムクムクと「あれもしたいこれもしたい」病が顔を出していくんです。

本屋さんでプレミアの本を見つけました。
高かったけど購入。
ここで初めて、じっくり編集ソフトについて学べました。
学ぶと言っても、本を眺めながら使ってみたい機能だけをピックアップして、
それだけをいじる、といった具合です。

それでも、あまりにいろんなことができすぎて、頭がクラクラしました。

安いソフトと高いソフトは、
機能がこれだけ違うんだ、と知りました。
同時に、「僕にはあんまり必要ない機能だなあ」というのが
あまりに多いことも知るのです。

(※ビデオスタジオもバージョンアップを繰り返し、今は十分高機能になっているはずです。
  当時僕が使っていたのは、無料でPCについてくる簡易版だったと思われます。)


人生は面白いもんですね。
僕はそれだけの知識(ビデオスタジオ:8、プレミア:2)で、映像業界に転職するのです。

映像編集が仕事でした。
ここで、ライセンス費用(ソフトを買って、それを使用する権利)が数百万もする某編集ソフトに出会います。

仕事なので使ってましたが、「そんなに高い理由が分からないなあ」というソフトでした。
だって、プレミアをちょろっとかじっただけの人間が操作できたのです。
そして、高いだけの驚きは何もありませんでした。

映像編集ソフトに、そんなに違いはないんだ、と知ることになりました。

やがて時代は変わっていきます。
その高い編集ソフトのセミナーで、衝撃の発表が行われました。

「今後、バージョンアップは行いません」

それは、そのソフトがプレミアなどの安価なソフトに敗北した瞬間でした。
そして、僕は業務の一環でアップル(Macintoshの会社)のセミナーに参加します。

そこで、Final Cut Pro(ファイナルカットプロ)と出会いました。

一人一人にMacintoshを触らせ、操作を体感できるセミナーでした。
正直、使いこなせた気はしなかったのですが、その操作性や雰囲気にヤラレました。

かっこいい。
でもこれは、ソフトが、というよりMacintoshそのものに惚れたのかもしれませんが。


編集ソフト界も、いろいろ変動が起きます。
プレミアは、Windows版、Macintosh版の両方があったのですが、
Macintosh専用であるファイナルカットプロの広がりに伴い、
プレミアはMacintosh版から手を引きます。

Windows:プレミア
Macintosh:ファイナルカットプロ
という図式になっていきます。

Final Cut Pro(ファイナルカットプロ)は、その会社で3年、使い続けました。
同時に自宅もMacintoshに切り替え、カルフの作品もFinal Cut Proで生み出されていくのです。

そう、僕の台所は、Final Cut Pro(ファイナルカットプロ)です。