映画制作講座映画の企画・準備ホラー講座〜恐怖の書き方

CHAPTER 10

2011年.始まりましたね。
今年も「ホラー講座」を宜しくお願い致します。

実は、工房の主人さんにお願いしたのですが、昔描いていた小説「パンドラの鍵」へのリンクを貼っていただきました。
書きかけだった小説を完成させるために、サイトに敢えて公開しています。執筆中ですが、もしよかったら読んでみてくださいね。内容はホラーが入っています(笑)

では2011年の講座のテーマ『人間』について、今年は少しずつ語っていこうと思います。

脚本を書くにしても小説を書くにしても、ストーリーだけでは心を打つものを作ることはできません。
そこで登場する人物達がキーになってくるわけですが、この人物をどうするかで、物語の進む方向は変わってきます。

特に物語を書く醍醐味は、登場人物達が作者の意図とは関係なく勝手に動き出す瞬間です。
是非皆さんにもこの楽しさを味わっていただけたらと思います。

では、『人間』ですが、一概に良い人というのは存在しません。

誰でも良い人に見られたいとは思うものの、心の中では別の自分と葛藤していたりしますよね。つい他人を批判したり、自分を守るために言い訳ばかり言っていたり…。
もちろん自分を弁護することで、鬱にならずにすむこともあるので、そういう心の在り方も大切な防衛機能なんですが…、よくこんなシーンを目にしませんか。

殺人を犯した人を近隣の人々が「礼儀正しくて、良い子(人)だったので、まさかそんなことをするとは思いもしませんでした」とコメントをするシーンを…。
つまり自分の中にもう一人残酷な自分がいるのに、普段は自分自身も欺いているため、周囲の人には必要以上に礼儀正しい人に見えているということ。
精神異常とかの分野になってしまうと、本人の意識の中でそんな人格を隠してしまうため、自分でもそんな残酷な人格がいることすら気付かないという例もあります。

それが二重人格、多重人格障害と呼ばれるもの。
そこで、そんな人物を掘り下げた作品として有名なのが、「ジキル博士とハイド氏」。この物語では薬物を飲むことによって残酷な醜男ハイド氏に変身するのですが、誰でも持っている残酷な一面をうまく描いている作品です。

ついでにハイド(Hyde)氏は「HIDE」に掛けているそうです。隠れた人格という意味でしょうか。うまいタイトルです。

また最近、シックスアンドセンス並の面白い映画に出会いました。
タイトルは「HIDE AND SHEEK」。
これも「かくれんぼ」という意味、タイトルだけでも意味深です。

作品は、アイアムサムで好演したダコタ・ファニングとロバート・デ・二―ロが親子を演じていて、なかなか演技も見物です。登場人物が少なくても、そこに込められた秘密、空想の友人に目が離せない作品で、最後の結末に「やられた感」を久々に感じました。
ネタばれになるので、詳細は書けませんが、この作品も人間の闇というものを深く捉えていました。
大げさなトリックや仕掛けはいらない、ホラーとは人間そのものだと教えてくれる作品だと思います。 多重人格、二重人格ものの作品を描くときの参考にしていただければと思います。

是非あなたも、自分のもう一つの面と向き合い、面白い作品にトライしていただけたらと思います。
では、本日の講座は以上です。またお会いできる日まで。

by 繭


こちらで小説書いています⇒パンドラの鍵





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