映画制作講座映画の企画・準備ホラー講座〜恐怖の書き方

CHAPTER 9

皆様、本当の本当にお久しぶりです。
「ホラー講座」のお時間です。

いつの間にか2010年、前回の講座が2006年なので、もう4年も経過してしまったのですね。
時間が経つのは本当に早い。年を取るのも本当に早い。そして、皆さんもすっかり「ホラー講座」なんていう講座があったこと自体忘れてしまっているのでは…と懸念しつつ、第七回目のワークショップが久々に開催されるこのタイミングに、ホラー講座も再開したいと思い、キーボードを叩いた次第です。

ホラーに興味のある方、是非この機会に講座に足を運んでくださいね。頑張って更新しますので、何卒宜しくお願いいたします。


では久々に初心に帰って…

『何故、ホラーに惹かれるのか?』

について、まずは考えてみようかと思います。
この講座をクリックしたあなた、何故ホラーに惹かれるのか真剣に考えたことがありますか?
私は幼い頃から、ちょっと怖いテイストの入った作品を好む傾向がありました。

小説でもディーン・R・クーンツや、スティーブン・キングを良く好んで読んでいました。
クーンツの『ウォッチャーズ』なんか、中学ぐらいに読みましたがいまだに面白かった記憶があります。
確か、人間の知能を持ったゴールデンリトリバー「アインシュタイン」と、政府の極秘な研究から誕生した凶悪な「アウトサイダー」と呼ばれる生物の物語。ハラハラドキドキする展開の中にも、主人公の孤独な男性とアインシュタインの心温まるエピソードが盛り込まれていたりと、読者を飽きさせない展開がこの作品の中にはあったように思います。

ということは、物語の中で私は現実では体験できない恐怖を体感したかった。

怖いもの見たさではないですが、ページを捲るたびに想像力が掻き立てられ、恐怖に身を竦ませる体験をしたかった。
なぜここでラブストーリーではなかったのか、もちろんホラーテイストなラブストーリーもありなのですが、私にとって読書はまず現実にはない奇妙な世界に入り込むことが目的だったわけです。
でもスプラッターが好きなわけではなく、あくまでも好みは心理的なサスペンスを好んでいたように思います。昔と今では若干嗜好が異なってきていますが…。

では、ここでシナリオのお話へ。

そもそも脚本を書いてみたい、そう思ったきっかけは、自分でホラーを書いてみたい。そこが始まりだったように思います。
映像化は二の次で、まずは物語が私の場合はベースでした。今も手元に残っているのですが、「パンドラの鍵」という書きかけの物語を読むと、昔はこういうのが書きたかったんだなあと懐かしく思います。

しかし、シナリオスクールに通って、ホラーがいかにコンクールを通過しないかを身を持って先生に教わりました。
特に幽霊もの、ファンタジーは作品の中で用いると逃げと見なされるため、人間が描けていないと判断されてしまいます。

そもそもドラマのベースは人間なのだから、人を描くことがまず第一。
その後にストーリーが来る。

私の書き方は、まずストーリーがあって、その後に必要に応じて人間を登場させていたので、物語の作り方がまず間違えていた。ここを直すのに大分苦労しました。

そのために、ホームドラマを書いたり、アクションを書いたり、恋愛を書いたり、そもそも私が書きたかった世界はどこへいってしまったのか?

迷いもしました。
脚本が楽しくない時期もありました。
映像化が目的になってしまった時期もありました。

でもそもそも私は何を書きたかったのか。
人間を描いて、その上にホラーを被せればいいじゃない。
4年の間に、本当に怖いものは人間自身だとも気付きました。
怖さは人間の内に潜んでいます。未知なる世界からやってくるものではない。
この普通に暮らすこの生活の中に、人の内に潜んでいます。

今、私の中で新たな作品を生み出し中です。次回からは『人間』をテーマにしたホラーについてお喋りしていきたいと思います。
もしまた講座に足を運んでいただけるなら、是非立ち読みして行って下さいね。

by 繭


こちらで小説書いています⇒パンドラの鍵





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