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警察に尋問される

 だんだんですね、警備員がいそうな場所とかが、ピン!と来るようになっちゃったんですよね。
あと、警備員登場までのタイミングとかね。
そんなわけで、警備員がいそうなロケ地はなるべくはずす方向でロケハンしたんです。
大袈裟なビルはだめなんでしょ、はいはい。ってな感じで、選んだのが普通の道路。
つまり、公道ですね。

この時の撮影は人数が多かったなあ。
10数人いたような記憶があります。
シーンとしては、やくざな生き方をしている男が、ふてくされて道を歩いている。

1) きれいなお姉さんが通っていって、すれ違い様その後ろ姿をなめるように眺める。
2)その直後に、気の弱そうな通行人と肩がぶつかり、やくざな男、怒鳴り付ける。
3)通行人、ペコペコ頭を下げる。


この日の撮影の主役となる役者さんに、『やくざな生き方をしている男』の役です、って説明してたんですね。
そしたら、その役者さん、見事なまでに眉を剃り、しっかりとそり込みを入れて来てくれました。
そ、それは、『やくざ生き方をしている男』じゃないですか…

ま、まあいいか、とすぐに自分を納得させ、さあ撮影だ、って時に別の問題発生!

そう、警備員のことばっか書いてますが、あんなやつらがいなかったとしても、現場はいつも問題の嵐なんですよ。
あれ、予定の人数より少ないなあ、って話ですよ。
集まる人数が多いから、つい見落としてたものの、よくよく考えたら『気の弱そうな通行人』役が来ない。
電話したら、「風邪ひきました。」って。
もうね、よくいるんですよ、撮影直前に風邪ひく人!
ま、こればっかは文句は言ってはいけないので、黙りますけどね。でも、こっちも怒り心頭になる気持ちも分かってほしいですよね。ほんとに風邪なら仕方ないですけどね。
しかし早めに連絡しろっつー話ですよ。

でまあ、困ってたんです。
そしたら女性スタッフたちが、「逆ナンしよっか」って。「いいじゃん、やろやろ!」って。
こんな時、威勢のいい女性陣はほんと助かるんです。
あっという間にほんとに気の弱そうな男性2人組を捕まえちゃって。
声をかけてきた女の子達と話してる時は楽しそうだったそいつらも、僕を含め男がぞろぞろやってきたらすっかり無口に。
(バーカ、世の中そんなうまい話ばっかじゃねえよ)
なんてつぶやきながら、にこやかに映画の説明をしました。
(冗談です。ご協力頂いた方には、ほんと感謝してます♪)

さて、逆ナンしてくれた女の子に出演してもらって、
1) きれいなお姉さんが通っていって、すれ違い様その後ろ姿をなめるように眺める。
はあっさりと撮影終了。

続いて
2)その直後に、気の弱そうな通行人と肩がぶつかり、やくざな男、怒鳴り付ける。
3)通行人、ペコペコ頭を下げる。

このシーンは、一連の動きを流れで追いたくて、道路の反対側にカメラを持った僕が移動。スタッフもみんな離れて、待機です。

状況をまとめると、僕とスタッフは道路のこっち側。
剃り込み眉無しやくざ男と、逆ナンされた2人組だけ、道路の向こう側。

さあ、うまくやってくださいよー、って感じで僕は彼らに合図を出しました。
よおーい、スタート!
役者さんが歩き出します。カメラも、その動きに合わせ、平行移動しながら撮影です。

役者さんが逆ナン2人にぶつかります。
慌てて2人が頭を下げる。
役者さん、振り返りざまに2人をにらみつける。

…のはずだったんですよね。
今考えると、警備員にばかり気を取られちゃって、もっと大きなものを見落としてたんですよね。
それは、
国家権力。

えー、話を戻しまして、

役者さんが逆ナン2人にぶつかります。
慌てて2人が頭を下げる。
役者さん、振り向いたら…

警官が2人立ってたんですよ。


役者さんも一瞬何が起こったのか分からず、次の瞬間慌てて両手で否定して状況説明ですよ。
僕らは道路のこっち側にいて、大慌てですよ。
役者さん、必死に否定してるんですけど、眉無しにスーパー剃り込み。警官、微動だにせずに見下ろしてるわけですよ。

僕らは走りましたね。
説明しないといけません。
役者さんを助けないといけません。
とはいえ、
心のどこかで(かかわりたくねー!!)って叫んでる自分もいるんですよね。
結局、近くにいた女性スタッフが説明してくれたみたいで、僕が到着する前に無事解決しました。

おれ、権力に弱ええーーって知った24歳でした。


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