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STEP04:集団行動のオキテ

そのオーディションはパスした。
おそらく落ちる人なんていなかったんだろうけれど。

そこには40人ほどのいろんな大学の学生が集まっていて、元気な彼らを前に、少し身構えてしまっていた。
映画の話をしようにも、みんな演劇の話ばかり。考えてみれば当たり前なのだが・・・。
それに、東大、東工大、慶應、早稲田…こういった学校別にグループができてしまっている。参加する前からお互いを知っていて、彼らに悪気はなくても、どうしても知り合い同士で親しげに話している。

俺のように後にも先にも参加しないような大学からの参加者は、なかなか入り込めない。

俺の顔には不満がアリアリと出ていたのだろう。
始まって数日後、管理する側からメモ書きをもらった。
そこには、 『つまんないんだったら、来なくていいよ』 と書かれていた。

言葉を失った。くそおー!俺は楽しんでんだよ。何か文句あんのかよ!
と一旦憤ったものの、落ち着いて考えるとやはりこれは俺が悪い。
文句を付けて、その状況に溶け込もうと努力していないのは俺の方なのだ。

俺は態度を改め、一人、二人、と仲いいやつを増やしていった。

そんな態度の悪い俺だったが、その代のリーダーは気を使ってみんなに話しかけてくれていた。
一匹狼だった俺も、きさくに話しかけることができた。

その男、多根周作は数年後、『ナット・ノーバディ』で刑事役を好演することになる。
また同じ舞台で主役だった柴田貴輝は『ドリームウォーズ・ドリーム』で榎本眞一を演じてもらった。
オーディション会場の受付で笑っていたマリは、『ドリーム〜』でヒロインを演じた後も、カルフに関わってくれている。

『カルフのように』という団体には、固定メンバーはいない。作らない。これはそういった俺の体験があるのだ。
同時に、ワークショップなどでつまらなそうにしてる人がいるとどうも気になって仕方ない。
そんな時は誰かをそっと仕向けたり、何度か個別に話しかけたりメールを送ったりしてみるようにしている。
が、数回やっても本人が溶け込む努力をしない場合には、厳しいようだがもう何もしない。

●カルフの不文律:

  • メンバーは固定しない
  • 来る人拒まず、去る人追わず

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STEP05:男女が集まれば恋も生まれる
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