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第四話:処女作完成! |
■リニア編集というものは、『ビデオテープに、頭から順に映像を入れていって編集』する。 つまり、 1)ビデオデッキに機材をつなぎ、まずはビデオカメラを再生する。 2)編集で使いたい映像が流れてきた瞬間にすかさずビデオデッキの録画ボタンを押す! 3)使いたいところまで録画したら、ビデオデッキをストップさせる。 この1)〜3)を必要なだけくり返し、映画は完成する。 言葉で書くと何やらややこしいので、マンガにしてみる。 ↓ ■ここで問題になってくるのは、下記の3点だ。 □ビデオデッキには癖がある …ビデオカメラにいい映像が流れてきて録画ボタンを押す。何と簡単な言葉の響きよ!しかしビデオデッキを使ったことのある方はお分かりのように、録画ボタンを押してもウィーン…ガチャ…とデッキが作動するまでに多少の時間がかかるのだ。その間、ビデオカメラの映像は進んでしまう。 このビデオデッキのタイミングを体に染み付け、その微妙なずれを考えてから、少し前もって録画ボタンを押さなければならない。これが難しい。 処女作は無声映画だったものの、セリフがある映像などは、声が切れてしまうなんてことも起こる。 □一度止めたらおしまい …編集途中にビデオデッキの電源を切るとどうなるか。当たり前だがもう一度電源を入れなければならない。電源を入れたらすかさず、編集のために一時停止状態にしないといけない。しかしその間必ずコンマ1とか2の誤差が出てしまい、つまりテープのその部分に電波の届かないチャンネルのような砂荒らし映像が挿入されてしまうのだ。絶対に編集中はビデオデッキを切るわけにはいかないのだ! □ビデオデッキは待ってくれない …じゃあ、時々ひと休みしながら電源を切らずに続ければいいじゃないのか。 チッチッチ…世の中そんなに甘くないのだ。ビデオデッキ制作会社は御丁寧にも電気を無駄に使わないように設計して下さっているのだ。つまり、ある程度以上の時間放っておくと、自動的に電源が切れてしまう! 以上のことをまとめると、ビデオデッキがウィーン…ガチャ…と反応する時間を第六感で計算してその時間分前もって録画ボタンを押す。目的のひとカットを録画し終わったらすかさずビデオカメラを早送りまたは巻き戻しをして次の目的の映像を大急ぎで探し出す。ああ時間がない。早くしろ!早くしないとビデオデッキの電源が切れてしまう!映像が見つかった!よし、ウィーン…ガチャ…分の時間をビデオカメラで巻き戻しをしてさあレッツ・チャレンジ! …うーん。またまた言葉で書くとややこしいのでマンガにしてみる。 ↓ ■とにかく、リニア編集は一度始めたら一気にひと作品の編集を終えなければならない。ものすごい集中力を必要とするのだ。 さて、処女作の『復讐』 これはどのような編集構成になっているか。 タイトル/コマ撮り映像/俺の演技/コマ撮り映像/俺の演技/コマ撮り映像/(…中略…)/終わり、の文字/エンドクレジット 以上である。 タイトルは自分で紙に文字を書き、それを撮影。終わり、の文字も同じ。 エンドクレジット、つまり出演だれだれ、監督だれだれ…ってやつは、縦長の紙に書いた文字をカメラを動かして撮った。 素材が全て揃ったところで、俺は上に書いたような方法で、緊張感のなか夜通し編集した。 そして処女作が完成した。 監督・出演・演出・撮影・特撮・制作・脚本・編集。 すべて俺一人だった。 さらにもう一つ俺が兼ねていたことがある。 それは「観客」。 その姿をまたまたまたマンガにして…みない。 |
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