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第一話:編集の基礎知識
書店に行くと、ノンリニア編集の10のワザ、などのタイトルの本がずらっと並んでいる。そして、当工房でも、ディジタルのノンリニア編集を行っている。
 今はしたり顔でノンリニア、なんて言葉を使っているが、ディジタル化されたのはまだほんの数年前のことである。ここに至るまで、俺はリニア編集をしていたのだ。もちろん、テレビ局のような立派なリニア編集機があれば話は別だが、個人レベルでリニア編集、というのはもう絶滅してしまったのではないかと思われる。余談だが、「リニア編集」とうつと、「利にアヘン集」と変換された。意味深な変換だまったく。閑話休題。

 俺にとって「リニア編集」の歴史は、青春と、日本脱出と、就職活動と、恋と、友情の歴史でもあるのだ。それを面白哀しいものがたりにしてみたい。
じゃあ、このコーナーを読んで一体何が得られるかと言うと、
『映像編集ってこうやってやるんだあー』
という概念が分かるのだ。

そもそも映像編集の方法に古いも新しいもない。使う脳みその部分はおんなじなのだ。
ただ、手と足を使い、神経をすり減らし、汗をかきながらやるか、机に座って足を組んでマウスをクリックするか、の違いなのだ。
最近のPC用編集ソフト解説本の悪いところは、この「編集の概念」をすっ飛ばし、ソフトの使い方から始まっている点だ。
その点でこのコーナーは、そこらの編集の本より、ずっと面白くて分かりやすいはずである!!

これから全8回にわたって個人レベルのリニア編集についてまとめていくが、最初にまず、「さっきから言ってる、リニア編集って何なんだよ一体」というところから説明したい。
このコーナーは個人レベル、初心者レベルの人に向けて書いてあるから、細かいことは気にせずズバリ言い切ってしまう。

●「リニア編集」=ビデオデッキを使った編集方法。アナログな編集方法。
●「ノンリニア編集」=PCを使った編集方法。ディジタルの編集方法。最近はみんなこれ。

「リニア」ってのは、「時間通りの」「時間にそった」くらいの意味で覚えておけばよくて、「リニア編集」ってのはつまり、作品の頭から順番に時間軸にそって編集していく方法のこと。
これに対して「ノンリニア編集」ってのはPCを使って時間軸に関係なく、「まずはエンディングを先に編集しちまおう!」と作業を始め、「やっぱオープニングをやらないと気分悪いなあ」とオープニングを編集し始め、「いや、先に音楽を入れてしまおうかな」と思いをはせることのできる、非常に気分的に楽な方法なのである。

尚、今は偉そうに「リニア編集」なんて呼んでいるが、つい最近まで俺にとって「編集」というのは「リニア編集」がすべてだった。
で、今は編集と言えば「ノンリニア編集」である。
時代は変わり、環境も変わるのだ。
思えば、生まれ育った広島にいた時は、「お好み焼き」と言えば「広島風」のことだった。
しかしこっち(関東)に来てしまった以上、「お好み焼き」と口にすると別の「似て非なるもの」と勘違いされてしまうので、仕方なく「広島風お好み焼き」もしくは「広島焼き」と呼ぶことにしている。
時代は変わり、環境も変わるのだ。

これを、『広島風お好み焼きとリニア編集の法則』と言う。

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