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水無月朋子のお字書き講座

お字書き講座6 『推敲』

 さてさて、この『お字書き講座』も今回をもって6回となりまして、そろそろ原稿に手をつけられた方もいらっしゃるかと思います。いないかな?こんなんじゃわかんねーよ…ってブーイングが聞こえて来そう。それだけじゃ治まんなくて、枕を床に叩きつけて「なんじゃこりゃぁ〜!」と即席ジーパン刑事になってる人もいるかも。そんな感じに言語道断・怒り心頭という方は、悪いことは言いませんから今すぐブラウザを閉じて本屋に走ることをお勧めします。いや、まじで。

と、いうわけで、滑ったり転んだりしながら続けて参りましたこの講座ですが、今回をもちまして終了ということに…ならないんだな、これが。まだ続いちゃうんだもんね。
今回は、原稿にそこそこ字が詰まってきたかな?書けたかな?ということを勝手に想定して「推敲(すいこう)」について進めて行きたいと思います。

 推敲とは、いわゆる「削る作業」のことです。
プロット→箱書きを経て、原稿の形にしたものを「初稿」と言います。 この初稿ができたら推敲を進め、第二稿、第三稿…と仕上げて行きます。この講座の第3回目に掲載したワークショップ用の作品『わたしをつむぐもの』は、10分の作品ながら結局、第五稿まで改訂しました。これは、この作品を担当した監督から「キャラクターのイメージが違う」「作品自体が長すぎる」「不明瞭な点がある」などのコメントがあったためで、そのたびに少しづつ違った作品になって行きました。
  映像作品はあくまでも共同作業の一環なので、意見のぶつかり合いもあり、そのたびに改訂を重ねてゆくのが必然となりますが、それ以外でも、初稿を上げた段階で読み直して、「おや?」と思う点があればどんどん削ったり付け加えたりする作業が必要となります。

その時に注意する点は…

○セリフ必要のないセリフは要らない
  自分の原稿を音読してみて、こんなこと普通言わねーよ!と思ったら即変更。
  あるいはわざとらしい説明セリフは他の表現(映像で見せる、ニュアンスで 伝える)
   などに変更できないか考えてみます。
○ト書き抽象的なト書き、長いト書きはNG
  ト書きはあくまでも他のスタッフやキャストに状況を判り易く伝えるためのもの。
  ですから「○○のように」等の比喩的な表現は避け、「歩く」「言う」等の 動詞や、
   「うつむいた横顔」「落ちて転がる缶」等の体言止めが無難です。また、だらだらと
  長いト書きも映像化するにあたってポイントが掴みづらくなるので、
   二行以内に収めることを心がけましょう。
○シーン要らないシーンは消す
  ひとつのシーンでだらだら喋ってませんか?喋らせるくらいなら行ってしまえ!
  これは、ああでもない、こうでもないと会話が続くくらいならとっとと次のシーンへ
  移ってしまえ、ということで、例えば、電話でだらだら喋る=状況説明をするくらいなら、
  「もしもし?」「…あ、私」と言った次の瞬間には、待ち合わせのシーンを立てて
   しまった方が良いということです。

 この「削る」という作業はなかなか勇気のいることで、「せっかく書いたのに…」という親心も手伝って、シーンを丸ごと削るなどというのはたやすくできることではありません。なので、発想を逆にして無声のシナリオを一回書いてみると、どれだけセリフが不必要かが判ります。映像表現として、携帯の文字、街角の看板、手紙や新聞の紙面、パソコンの画面…などの文字表現や、ドアの閉まる音、鳥の飛び立つ音、電話のベル…などの効果音に「セリフがなくても主人公の気持ちを代弁するもの」はたくさんあるはずです。それを探して作品に盛り込み、極論はそこに「本当に必要なセリフだけを差し込む」という考え方を一度実践することをお勧めします。

 どうでしょう? 少しはご自身の作品の参考になっているでしょうか??
次回は私自身の失敗談などを盛り込みつつ、現場からの声をお届けしたいと思います。
それではまた第7回へのご来店を楽しみに、本日は閉店なり〜☆

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