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水無月朋子のお字書き講座

お字書き講座5 『構成』

 映像作品はシーンをつなげて行くもの、と前回書きましたが、いくつものシーンをつなげた上で、大きな話の流れを作って行くのが構成です。単調なシーンのつながりでは観ている人が飽きてしまうし、だからといって突然とんでもないシーンを持ってきても混乱させるだけ。ですから、視聴者の目線でシーンを展開していくことを心がけましょう。

○大前提となるのが「起承転結」というものです。

=導入部。キャラクターや状況の説明
=展開@ 「起」から派生した物語の展開。継続シーンへの伏線を引く
=展開A @からの継続+結果とBへ続く伏線
=展開B Aからの継続+「転」への展開
=クライマックス。 山場の部分。伏線の謎解き
=結末 「転」の結果をまとめ、オチつける部分。

  ここで注意したいのが、起→承+承+承…と物語を展開させていく間に、観ている人たちから転・結を気づかれてしまうことです。
いわゆる「オチが見える」ということですが、これは「予定未来」といって、結末を大事にしすぎるあまり、物語に意外性がなく、いわゆるつまらない展開を継続させてしまうとこのような結果になってしまいます。
とはいえ、観ている人たちがとてもついて行けないような真実味のない展開(前フリもなくいきなり行動を起こす、まぐれ、偶然の多様など)があってはしらけてしまうというもので、そのへんのバランスが構成の難しいところであるといえます。

 「構成」について、とても判りやすく説明して下さった講師の先生がいらっしゃいます。 私が受講した講義に講師として来て下さり、過去に『同窓会』『夜に抱かれて』などの脚本を手がけられた井沢満先生です。その講義内容の一部を掲載しますので参考になさってみて下さい。 しかしながら、これはあくまでも私的なやりとりなので無断転用などは絶対にやめて下さいね。

シナリオを書くにあたって注意する点、心がける点はどんなことですか?
『近頃、脚本を志望する人の中には、映像に傾くあまり書物をおざなりにしている人たちがいるのではないか、という印象を抱いていますが、それは良くないように思われます。人物造詣を深くするにはやはり読書です。映像は一過性で、感覚は揺さぶりますが、人を立ち止まらせて思索させるということは不得手です。』

有効な勉強方法などはありますか?
『私は、半ば習慣として映像を観ながら頭の中でシナリオを組み立てたり、こうしたらいいのに…と思われる個所は勝手に組み立てなおしたりしています。 映像からハコ、シナリオに再構築する際に心がけておくと良いのは時間配分です。冒頭、どのくらいの時間で最初のクライマックスが来るか、あるいは何分目に犯人の目星を視聴者につけさせているか、というような見方です。 基本的に、作品を四つのブロックに分けて分析する習慣をつけると良いでしょう。いわゆる「起承転結」という4ブロックは人間の生理にも、すなわち、ドラマ的な生理にも適うことです。 その四つのブロックのひとつをさらに四つに解体してみて下さい。優れた作品にはその小さなひとつのブロックにもそれなりの「準・起承転結」とクライマックスが仕込まれていることに気づくはずです。』

  このことからも、既存の作品の中には必ず「起承転結」が隠されているといえます。それはどんな短い作品でも、あるいは120分ものの映画でも同じです。 ですから、どの部分が「起」であり、どこからが「承」、そしてどのような「転」を用意して、「結」につなげるか…ということを注意しながら観ることで、その流れを把握して行く力を備えるようにしましょう。

  最近の映画では『運命の女』の「承」の部分に「準・起承転結」がうまく隠されていて、最後まで飽きさせずに見せてくれたので、うまい具合にひっぱるもんだなぁ…と感心しました。 それにしてもこの作品、原題の『UNFAITHFUL(不誠実)』の邦題が何だって『運命の女』なんだ!?と和訳のセンスのなさにアゴが外れそうになりましたが。 …と、話がそれたところで、みなさん、ビデオ屋に走るべし! それでは今回はこれにて終了〜☆

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