超初心者のための映画制作講座

海の向こうで映画を作る!

鈴木英之 8 Moment Enterprise

23:YOUNG TALENT 3 若き才能3

プロデューサーであるルークと一緒に生活をしていると、次々と若い映画監督に出会う機会を持つ。

今回も30分のショートフィルムを製作している20代後半の監督に出会った。
アクション映画を撮影しており、スタッフ総勢30名、クレーンやドリーを使用したショットがあり、僕が一番印象に残ったのは、本物の銃を使用した発砲シーンだった。

空砲ではあったが、かなり迫力があった。
スタッフや予算が多ければ、良い映画が撮れるという事ではないが、この監督の映画に対する情熱は半端ではない。
脚本と製作に4年を費やし、250万円という製作費も集めたのである。

この当時、がんばっている監督に会うたびに、僕はネガティブな事を考えてしまった。
正直いうと僕は疲れていた。

映画学校へ行っても、撮影現場へ行っても、言葉が満足に話せず回りの人達と比較してしまい劣等感を抱くようになっていた。
そして日本に帰国する日が近づき不安もあった。
そんな状況の中で、僕は少しずつ目標を見失っていた。

ある友人に、どうしたらTOEICで良い点数がとれるのか相談をしたのだが、
その時、その友人が僕に質問をした。

友人「なんでTOEICを受けるの?」

僕「いや、あと4ヶ月で帰国するから何か取った方がいいと思って」

と僕は答えた。
何となくごまかしながら話しをしていた僕は、どこかぎこちなかっただろう。
しかし次の友人の問いに、僕は目が覚めた。

友人「何をしにオーストラリアへ来たの?」

僕「・・・」


僕は家に戻り、机と向き合った。

友人のおかげで、僕は大切な事に気付く事ができた。
それは至ってシンプルだった。

「海の向こうで映画を作る」

こうして僕は、ここオーストラリアでの最後の映画製作をスタートさせた。



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