超初心者のための映画制作講座

海の向こうで映画を作る!

鈴木英之 8 Moment Enterprise

20:YOUNG TALENT 1 若き才能1

ある記事に書かれていた。
「世界一職業率が高い仕事は、映画監督である。」

オーストラリアに滞在中、僕と同じように沢山の映画監督志望の方と出会った。
その中ですごく印象に残っているのが、ドイツ出身のダニエルである。
ダニエルは、ドイツの映画学校に在籍中、プロデューサーのルークの元へ、インターンシップとして来たのである。

そんな彼が、ルークのプロデュースのもと、映画製作をすることになった。
低予算ではあるが、18mmフィルムで撮影する事が決まった。

僕もPA(日本でいうADのポジション)として参加したのだが、フィルム撮影がこんなにもお金がかかるとは、想像していなかった。
予算のほとんどが、フィルム代で消えてしまったと言っていた。
(例:1巻=400フィートの35mmフィルムで、約4分撮影できるそうだが、1巻あたりなんと$400〜$500だそうだ。)

ダニエルは、本番の前に念入りにリハーサルを行っていた。
デジタルの撮影と違って緊張感がさらに増す。スタッフの人数も桁外れだった。
そんな状況の中、ダニエルは、2日間の撮影を無事終わらせる事ができた。

今、僕はダニエルやルーク達と完成品を見ている。
全編白黒で編集されたその絵は、まさに1960年代を思わせ、とても重厚感があった。
しっかりとしたキャラクター設定が活かされており、緊迫のあるギャング・ラブストーリだった。

今回、ダニエルは、監督兼脚本、編集を担当し、撮影では一流のスタッフをまとめ、ロケーションは、クラブバーとホテルの屋上を無料でレンタルできるように交渉した。
音もスタジオを借りて、友人のバンドが参加したと聞いた。
年齢は関係ないが、それでもまだ20代前半のダニエルは、とても良い仕事をし、才能に溢れていた。



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