超初心者のための映画制作講座

海の向こうで映画を作る!

鈴木英之 8 Moment Enterprise

16:FAILURE 失敗

自分の作品を撮った事と、インターンシップで行く撮影現場にも少し慣れた事で、どこかハングリー精神がなくなっていたのかもしれない。

僕は、PA(Personal Assistant)日本で言う、ADのポジションでプロデューサーであるルークの撮影現場にいる事が多かった。
現場では毎回スタッフは違うメンバーになる事が多く、僕はよく同じポジションであるPAの人を見つけては、現場で一緒にいた。

ある撮影の帰り、ルークが質問をした。

LUKE “ How many staffs did you talk today? “
(今日、何人のスタッフと会話した?)

僕は予想もしなかった質問に、少し戸惑い、同じPAだった3人と答えた。

LUKE “ You don’t understand what I said. “
(僕が言った事をまったく理解してないよね)

僕は、何の事を言っているのかわからなかった。

LUKE “ I told you before. IT IS NOT WHAT YOU KNOW, IT IS WHO YOU KNOW. “
(僕は前に言ったよね、何を知っているかではなく、誰を知っているかとね)

いつからだろう、僕はルークに完全に甘えていた。
自分で道を切り開こうとする気持ちを忘れ、ルークがいれば映画が作れると思った。
ルークが僕を毎回撮影現場へつれてきてくれたのは、自分でネットワークを広げ、自分自身で映画を作れるようにと考えていてくれた。

LUKE “ WAKARIMASITAKE?”
(わかりましたけ?)
最近、覚えた日本語を満面の笑みで言った。しかし何度「わかりましたけ」じゃなくて「わかりましたか」だよと言っても間違える。

僕は、若干イラっとしたが、素直にルークが言った事を聞き入れた。
心の中で次第に作品意欲が湧き始めた事に気がついた。

そして今度は、できるだけ自分の力で撮ってみようと思った。





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