当たり前だが、ここシドニーで俳優の知り合いはいない。
しかも脚本のキャラクターに合う俳優を見つける手段を知らない。
ただまた少しでも妥協すれば、プロデューサーであるルークに、駄作を作りたいの?と言われるだろう。
ちょうどこの頃、偶然友人がシドニーにある映画専門学校へ通っている日本人女性を紹介してくれた。
ワラをもすがる思いで、この女性に連絡をし、どのようにキャスティングをしているのか聞いた。
他にも、バイト先の常連さんにヘアーメイクさんがいたので、誰かいい人がいないか聞いたり等、あらゆる自分の人脈を使った。
・キャスティング条件
Name(名前): Takeo, Age(歳): 45, Language(言語): Japanese & English
Nationality(国籍): Japanese, Role(役柄): Ethan’s father
Name(名前): Ethan, Age(歳): 18, Language(言語): English
Nationality(国籍): Japanese & Australia, Role(役柄): Takeo’s son
映画学校へ通っている女性にあるサイトを教えてもらった。
そのサイトには、沢山の俳優さんが登録をしており、年齢や人種など俳優条件を入力すると、自動的に条件に合った俳優さんへ映画製作の情報がメールされるというシステムだった。
映画製作の内容を登録した翌日すぐに俳優さんから連絡があった。
なかなか役者が見つからなかったので、嬉しさいっぱいにメールを開いてみた。
1件目のメール
Takeo 役に興味があります。
年齢45歳で、英語とイタリア語を話せます。
出身は、イタリアです。
(???)この人は、何をいったい見たのだろう。
2件目のメール
映画製作の内容を見ました。もしよかったら一度お会いしましょう。
写真を添付しますね。
日本人の方からのメールだった。
写真は20歳ぐらいの好青年だったので、イーサン役にいいなと思っていたが、会ってみてびっくりした。
写真より10歳は老けている感じだ。
年齢を聞いてみれば、34歳だと言う。写真は、10年前以上のものらしい。
オーストラリアに長く住むとこんなにもアバウトな性格になってしまうのだろうか?
といったように、見当違いの人達からのメールもあったが、役柄にぴったりな役者さんと出会う事ができた。
父親役には、自称アジアのブラットピットというアジア系のチトさん。
息子役に、身長が高くアジア人とオーストラリア人のハーフであるクリス君。
(追加)
実際キャスティングは最後の最後で決まりとても大変だったが、なんと父親役のチトさんは、あのクリントンイーストウッドと仕事をした経験があった。
作品は「父なる星条旗」というめちゃめちゃ有名な映画だ。僕はチトさんからハリウッド映画の裏側のエピソードを聞く事できた。
映画よりドラマティックでゴージャスな話しに僕は、興奮しっぱなしだった。