5:FATE 運命
ある晩、英語を教わろうとリビングにいるマークに話しかけた。
マークから問題の答えを聞き、去ろうとした僕に、マークは質問をした。
Mark “ Why did you come here? “
僕は、片言の英語でマークに自分の思いを伝えた。
マークは、なんだかうれしそうな表情をして、立ち上がった。
そして僕に言った。
Mark “ Hide, come to my room !! “
なぜ、誘われたのかよく分からなかったが、マークの部屋へ行った。
マークは、ミュージックビデオを見せてくれた。
そして、作品について説明してくれた。
Mark “ This is my work… “
そう、このミュージックビデオはマークの作品だった。
僕は、驚き興奮した。
そして、テンションが上がると早口になる僕の英語は、
もうどこの言葉なのか分からなくなっていただろう。
そして一晩中、マークと映画の話をした。
当時、あまりこの出会いについて深く考えなかった。
だが今、すごく感じている事がある。
出会いは、突然やってくる。
だが、その時は“運命だ”とは思わない。
やがて、一つの出会いが、夢への挑戦と繋がり、
夢を思い続ける事がその運命に出会えるのだと。
僕は、神の存在や迷信など、あまり興味が無い。
ただもし運命を信じるかと聞かれたら、僕の答えは、「YES」である。
英語だけを学びに来たシドニーで、僕の映画作りは、少しずつ始まっていく。