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特殊な状況で録る1

談話:助監督×工房の主人

特殊な状況で録る1
主人「音の録る状況っていつも違うから、いつもいつも頭を悩ませるよな。」
助監「前作はほとんどすべて公園内の撮影だったから、ガキの声とカラスの声がうるさかったなあ。」
主人「今回は車内での撮影が多くて、あと動いてる人間のセリフを録るのが大変だった。」
助監「俺らも”回答”を知ってるわけじゃないからそんなエラソウにはしゃべれないけど、いろいろ試したなあそういや。」
主人「そうだな、エラソウにはしゃべれんな。」
助監「じゃあ終わり…?」
主人「ダメ。続けます。」
助監「そろそろ疲れたなー。帰りたいなー。」
主人「ダメ!続けます。」
助監「だって教えれんもん!」
主人「いいの!どんな状況で俺らがどんな風にやったかを話すの!」

車内録音
主人「今回はカルフ初の車の撮影だったわけだけど、車内で声を録る時大変だったのは?」
助監「いっぱいあんなあ…。まとめきれんから、思い付く順に話すよ。」
主人「おう。」
助監「狭かったから、マイクポールは使えんかった。だから手でマイクを持ってた。」
主人「役者と監督とカメラマンと音声さん。こんなにたくさんは絶対入らんもんな。」
助監「せいぜい二人だな。カメラ撮る人とマイク持った俺だけ、だった。」
主人「車内映像をよく見ると、役者の後ろにスタッフの肩とか映ってるよな。」
助監「監督自らそういうことバラしてどうすんだよ。」
主人「あ、失言!これカットね。」

助監「声の録り方っていうか、撮影の仕方によって全部変わってきちゃうよな。」
主人「うん。じゃあ、その撮影の仕方別に話すか。まずは止まってる車の二人を録る。」
助監「これが一番簡単だな。お前にエンジン切るように言われた。」
主人「エンジン音なんて後から加えられる。この対談でも何度も言ってるけど、余計な音はぜんぶ除く。」

助監「次に簡単なのは、運転席と助手席の二人を後部座席から撮影する時だな。二人の間からマイクを突き出すだけ。」
主人「窓も閉め切れるから、雑音も入らないしね。確かに楽だ。カメラマンも。」
助監「後部座席の二人を、助手席から撮る場合。これも楽と言えば楽だけど、助手席には一人しか乗れないからカメラと音声両方をやらないといけない。」
主人「助手席に二人乗れるか、最初試したよな。」
助監「最初から無理だ、そんなの。そもそもお前とくっつくなんてヤです。」
主人「俺もヤです。」
助監「助手席の役者とか、運転してる役者それぞれ一人ずつ撮影する場合。これも問題ないね。」
主人「うん。これはカメラマンが大変なんだけど、関係ないからまた別の機会に。」
助監「別の車から撮影する時。これは俺だけ役者と一緒に車に乗り込んで、別のカメラで録音したな。」
主人「これも楽だけど、連絡するのに手間どったな。いちいち携帯電話で「スタート」「カット」って言わないといけない。」
助監「カメラが携帯の電波を拾って、雑音が入るから気を付けないといけなかったしね。」
主人「だから、携帯で「スタート」って電話してから、少ししてから演技してもらったよね。」
助監「くくく…。」
主人「なんだよ。」
助監「思い出した。お前(監督)がいなくなった途端、役者さん達気軽におしゃべり始めるんだよ。それが面白くて。自分の笑い声を録らないように苦労したよ。」
主人「…」
助監「あとあれだな、最後のパターンは運転手と助手席の二人を斜め前から映すやつ。」
主人「あー、苦労したなー。窓の外にカメラを突き出して必死に重いカメラを支えなきゃいけない。」
助監「音声マン的にはそんなに苦労はなかったよ。」
主人「これは今考えると、ピンマイク使ってもよかったな。」
助監「あ、思い出した!車内で音声やってて、一番ヤだったのがそのパターンの撮影だった!」
主人「なんで?」
助監「今、カメラやる人大変だっつったじゃん。」
主人「うん。すげーしんどい。撮影中カメラ揺らさないようにほとんど息止めてるしね。」
助監「カットが終わる度に、「ううっ!」とか「うはぁぁああ…」とかため息を大音響で聞くことになんだよ(怒)。」
主人「(笑)」


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