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【払える予算内に抑える】
ロケ地
執筆:工房の主人

映画と舞台の違いは?
なんて聞かれることがあります。

僕は元々、舞台で表現することから始めてます。
だから益々、なぜ映画に移ったの??と聞かれるわけです。

役者の生の姿の迫力を感じられるのは、舞台の良さの一つですよね。
映画の良さの一つは‥‥場面が変われることだと思います。

海辺だったり、山の頂上だったり、はたまた教室だったり。
それぞれのリアルな現場で撮影をして作品にまとめることができる。
僕はその自由さに惚れました。

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今回はロケ地のお話です。
いきなりですが、次のような企画書が2本あります。
どっちが安上がりでしょうか。

【A】
 青年が部屋でひとり、眠っている。
夢を見る。いろんな光景が頭をよぎっていく。
波打ち際、ハイキング、トンネルの中、土手のサイクリングロード。
突然、青年は目を覚ました‥


【B】
 青年が部屋でひとり、眠っている。
夢を見る。いろんな光景が頭をよぎっていく。
自分の部屋、玄関、グランド、街の公園、住宅地。
突然、青年は目を覚ました‥



答えを先に言ってしまうと、【B】です。
もちろん、例外をいくらでも言うことはできますよ。
でもまあ、挙げ足をとるのは止めましょうね。

本題を続けます。
なぜ【B】でしょうか。

映画の脚本ができてきたら、僕はまっ先にロケ地を確認しています。
だいたいそこで、撮影期間や費用が見積もれちゃうんです

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【A】は、波打ち際、ハイキング、トンネルの中、土手のサイクリングロードを撮影するために、『海辺、山、町の中、土手』の4箇所に移動する必要がありますね。

一方【B】は、自分の部屋、玄関、グランド、街の公園、住宅地を撮影するのに、うまくいけば一つの街で完結できます。
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ひとシーンひとシーンが短ければ、夢の中のシーンは一日で撮影終了できちゃうかもしれません。
しかし4箇所移動する場合は、ひとシーンがいくら短くても、全体の撮影時間を短縮することができません。
移動に時間がかかりますからね。

時間がかかる、というのは、つまりお金がかかるということです。




ロケ地選びのポイントとして、もう一つ大きなものがあります。
それは、ロケ地の状況、です。

例えば山の中と街の中では、山の方が撮影は早いんじゃないかと思います。

山には誰もいない。街はシンプルに、通行人がネックになります。
何度も何度もNGになったりします。
許可をとっていないと、いろいろ問題も起きたりします。

※参考:『警備員がやってきた!

撮影がしやすい場所をロケ地に選ぶのも、大事なんですよね。
監督のこだわりなどで、「ここだけ入れたい!」なんて場所がありますが、そういうのはいろいろ考えて攻略してみて下さい。

その辺も、映画作りの必要な思考ですね。


ポイントをまとめます。

●ロケ地はなるべく移動しない。
●人や邪魔の入らないロケ地を選ぶ。


とは言え、映画を見慣れている人が見たら、「あ、近場で済ませたな」って分かっちゃいますけどね。
そこをどうごまかすか、それもポイントですね。

カルフの2005年度作品『missing』ですが、映画を見た方から「ずいぶんいろんな場所で撮影したんですねー」って言われてものすごくうれしかったのを覚えています。

これ、実は一つの街で撮影を完結させてます。
いろんな顔を持つ街を見つけて、ロケハンの段階で細かく撮影ポイントを決めておいたんです。

ただし、一番最初に書きました。
作品をこじんまりとまとめるんじゃなくて、「そんなとこでロケしたんだー!」って言われるような場所での撮影も、ちょっと入れてみたいもんですよね!!


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