映画制作講座映画の企画・準備ホラー講座〜恐怖の書き方

CHAPTER 8

ご無沙汰しております。ホラー講座のお時間です。
「え、ホラー講座って終了していたんじゃないの」
あーどこからかそんな声が聞こえてきますが、いえいえ終了していたわけではありません。 ちょっと長すぎる冬眠に入っていただけなんです。って言い訳ですね。すみません。読者の皆様。
ほぼ一年ぶりの更新になりますが、ここで重大な報告をしなければいけません。

自主映画でホラーを撮るのは難しい

これがこの一年で私が痛感したことです。ごめんなさい。ホラー好きの皆さん。でもこれが現実でした。講座もここでおしまい。そんな感じです。
うそうそ。
私はめげませんよ。この現実を知った上で、私は作りたいと思っています。なので、今回は「なぜ、自主映画でホラーを撮るのは難しいのか」をテーマにお話をさせていただきます。

実際に去年の12月、ちょうど今頃ですね。講座でも書かせて貰いましたが『PS.AIKO』というホラー映画(ミステリー?)を撮影していました。5月のゴールデンウィークに無事上映も済ませました。100人近くのお客様に見ていただき、本当に感謝の念でいっぱいです。ありがとうございました。
でも実際の撮影は苦労が多かったのです。

まずは、
撮影場所を、“ホラー映画を撮影する”という名目では借りられないという問題。
ホラーと説明すると場所を借りられないので、ここはミステリーを撮影したいという方向でお話しするしかありませんでした。ホテルのキャンプ場を借りての撮影だったので、きっと夜中にカメラを回している私達をオーナーが見たら、即中止だったかもしれません。明らかに悲鳴のシーンが多すぎでしたからね。やはりホラーとなると、場所に悪霊が取り付く(まさかね)と思う方々が多いのでしょうか…。
従って、撮影する場所が限られてきてしまいます。なので必然的に柱は少なく、同じ場所での撮影が多くなります。ホラー映画って、『感染』、『ブレアウィッチ・プロジェクト』とか見ても分かるとおり、一つの場所で起こる超常現象を扱ったものが多いですよね。
なので、あまり柱を多くしないことをご推奨します。ロケハンの時点で撮影を挫折しかねないので…。

そして、
子供に出演して貰うのは難しいという問題。
子供に出演して貰うのは、正直無理です。ホラー映画に出演させたい親御さんはいません。
有名な映画ならともかく。子供の霊役なんて、本当に出演して貰えません。今回の作品は特に、この子供役がキーになったので、重要なシーンに子供の姿がないというリアリティーのない映像になってしまいました。これが映画の魅力を半減させてしまったのかもしれません。
でも実際には、老婆、老人、子供などの登場人物は、ホラー映画にとって視覚的な怖さを伝えるのに必要不可欠だったりします。『ほの暗い水の底から』も子供がキーですよね。だから、20〜30代の役者ばかりだと、あまりリアルな怖さを演出できない。もちろん作品によりけりですけど。

まぁ、そうは思ってもいい子役が見つからないのが現実です。なので登場人物の設定は、作品を書く段階から思案しておくべきです。この子は使えるという、はっきりした約束がない場合は、子供の出る脚本を書いてしまうと後々、役者を見つけるのに一苦労する羽目になります。

最後に、
ホラー映画を撮影すると事故が起こるという問題。
これは本当にあった話です。この映画の撮影は千葉で行っていたため、毎週、車で二時間近くかけてロケ場所まで通っていました。そして、撮影していた場所は世にも不思議な場所。赤い橋と白い橋に囲まれた寒気の走るトンネルでした。
そして橋の側には顔の潰れた不気味な石碑。そこにはいつもなんらかのお供え物が…。皆、初めは気にしていたんですけど、段々怖くもなんともなくなってきた。そんな時期です。起こり始めたのは…。それも決まって帰宅中に。一回目は車の衝突事故。機材を載せた車に、乗用車が突っ込みました。私はそれを目の前で見ていたんです。怪我がなくて不幸中の幸いでしたけど。そして次の週の帰宅中は、いつものルートを走っていたはずが、アクアラインを目の前にして、道を大きく間違え、霧深い山奥に迷い込んでしまいました。どこまで走ってもアクアラインに辿り着かない。時間はどんどん過ぎ去っていくし、霧はますます濃くなっていく。迷子になっていましたね。そのことに気づき慌ててUターンした後でした、大きくスリップして死にそうになったのは…。とにかく事故が多かった。よく誰も死なずに撮影を終えることができたなぁというのが感想です。
最後の日、顔の潰れた石碑に皆で線香を上げました。そんな曰くつきの撮影がホラー映画を撮るということなのかもしれません。

ホラー映画、撮るのは大変だ。やっぱり無理なのかも…。何度も挫折しそうになります。でも、不思議に撮りたい仲間に出会い続けます。もし私の講座に興味を持っていただけたのなら、是非下記のメールまでお問い合わせください。感想はもちろん、役者でもスタッフでも、もちろん脚本の依頼でも構いません。一緒に作品をつくりましょう。
ホラー講座・
繭まで
                               By 繭


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