映画制作講座映画の企画・準備ホラー講座〜恐怖の書き方

CHAPTER 7

しばれるような北風。今年はまれに見る大雪。
久々に帰った金沢は雪に埋もれ、道の両脇にうず高く積まれた雪は異世界へのトンネルのようだった。私はその白いトンネルの中を歩いた…。
雪深い道を歩くたびに、思い出される記憶の断片。
雪の上に点々と残されていく足跡が、いつの間にか小さな女の子の足跡に変わっていた。
「まーゆこちゃん、あっそびまっしょ」
顔の変形した雪だるま。氷の張った人工池。小学生の私がそこにいた!真っ赤に染まったマフラーを握り締めて。
「まゆちゃん! ねえ、まゆちゃんやろ!」
声を掛けられ、思わず私は飛び上がってしまった。
振り向いた私の背後には懐かしい顔。昔よく一緒に遊んだ幼馴染の亜紀子。
「ひさしぶりやね。10年ぶりけ?」
その顔にゆっくりと浮かぶ共犯者の微笑。
私も、ぎこちなく笑みを返した。共犯者の笑みを。雪解け水の流れる音。
鞍月用水の中を、雪の塊が流れていく。その雪の中にまぎれて流れていく赤いマフラー。
私たちは10年ぶりに思い出していた、闇に葬ったある出来事を…。

お待たせしましたホラー講座のお時間です。
「え、そんなのあったっけ?」
あーすみませーん。放置しずぎですね。反省反省!ということで今年も宜しくお願いします。
さて、新年第一弾ということで、今回は私事で申し訳ないですが、<物語の発想>についてお話しようかと思います。もちろん、物語とはいえ、ジャンルはホラーですよ(笑)

ポイントその1
それは、キーワードから物語を連想すること。上記の文章のキーワードは分かりますか?
答えは雪。
そして、ここからが肝心!雪のイメージから発想を展開します。
雪は白い、白の中に赤いものは目をひく、じゃあ赤いマフラーは?
赤いマフラーは血をイメージする。血、なにか怖い。昔の友達に再会した!意味深な笑み。隠された秘密。遊んだ記憶、そこに赤いマフラーが絡んでいる。もし、それが雪解け水にまじって流れていたら…。なにか怖いような気がする。
そう、これ、何か怖いような気がする。ホラーを創造するには欠かせない気持ちなんです。
皆さんにもありますよね、あ、なんかそれ気持ち悪い、怖い!って感情。雪という綺麗なイメージを徐々に「なんか怖い」と思うようにイメージを展開していくことが重要です。

ポイントその2
昔遊んだ場所に行ってみる。
私がよく使う手。小さい頃って、暗い場所っていうだけでなんだか怖くありませんでした?そういう場所に、大人になった今、もう一度足を運んでみてください。目に見えない何かに出会える可能性大。場所というのは不思議なもので、以外に昔の記憶どおりに残っていたりします。ポイントその1と多少被りますが、場所をキーワードに発想してみるのも面白いかもしれません。

ポイントその3
楽しいことをしている時、みんなとわいわい騒いでいる時、そんな時にあえて逆の発想をしてみる。すごく不安なこと、もし今、大地震が起こったら、部屋に閉じ込められたら、うつの方にはお勧めしませんが、マイナスの発想がいいものを創りだすときがあります。

ポイントその4
夢、それも奇妙な夢、よく覚えていないけど寝起きの悪かった夢。そんな夢をできる限り記録しておく。
夢の中では、どんなにリアリティのないことでも、実際に体感していると擬似的に感じているもの。
現実か?と思うような夢を見るようになったら、貴方の脳はすでに物語を創造しているのです!

なんてところでしょうか?少しでも参考になればいいんですが…。
では、また。

追伸
参加していただいた皆様、映画『PS AIKO』があともう少しで完成致します。上映日時が決まりましたら、またご連絡致します!

近況報告
今春、映画『孔-KUJAKU-雀』を劇場公開致します!こちらもぜひぜひご来場していただけるとうれしいです。そして、今後の活動ですが、株式会社ミライ配給『月光』の監督さんと次回、ホラーオムニバスムービーを撮影することになりました。
こちらも随時近況を報告していきたいと思っています。
今年も宜しくお願いいたします!

                               By 繭


こちらで小説書いています⇒パンドラの鍵





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