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7:ドゥ・ザ・ライト・メニュー 失敗談

これまで何回か弁当屋のおばちゃんと化したみなづきですが、そのたびごとにいろいろやらかしています。バレないようになんとか取り繕ってとりあえず現場には行きましたが、そんな失敗談をいくつかバラそうと思います。今これを読んで「え!?」と思う関係者の方がいたとしても責任は取りません。とっくに時効です。

【具に凝り過ぎ】
 これは一回目(前の回参照)のワークショップの時だったと思います。初めての現場♪初めてのロケ弁♪と浮かれていた私は、おむすびの具にまで凝りまくり、シャケ風味のごはんの中には鮭を入れて、ゆかりごはんの中には梅干しを…なんてあれこれ考えていたんです。
結果どうなったか。これがいっじょうに手間がかかる!ごはんに味を付けて、中にも具を入れて…なんてやっていたら、いつの間にか時計の針がマッハで過ぎていました。時間は押しまくり、予定では12:00着のデリバリーが13:00に。予期していたこととはいえ現場は暴動寸前。「ごはんまだですかぁ〜?」的などよ〜んとした空気や、「メシはまだかこのやろう。そろそろ暴れっぞ」的なせっぱ詰まった空気があちこちから漂って来て、冷や汗をかいたのを憶えています。凝らなくてもいい。とにかく時間厳守!を実感した瞬間でした。

【超うす味!】
  前回の失敗を胸に望んだ第2回目。「ナット・ノーバディ」の現場ということで人数も多かったし「ええぃ、炊き込みご飯にしてしまえ!」とばかり、市販の「なめたけの瓶詰め」を2本、お米と一緒に炊飯器にぶちこんだまではよかったのですが、隠し味にもなるお醤油を入れるのを忘れて炊いてしまい、できあがったのは「炊き込みごはんの未熟児」みたいな、色も味も薄いものでした(泣笑)。
仕方なく、おむすびにする時に手に塩を振って、上から海苔でぐるぐる巻きにするという偽装工作を。それが功を相したのか、皆さんよっぽどお腹が空いていたのか、現場で味について文句を言われることはありませんでしたが、普段の夕飯にこれを出したら絶対にぶっ飛ばされるようなシロモノだったのです。
それに結局は二度手間になってしまったわけで、段取りは落ち着いてゆっくりやらないと余計に時間がかかるってことを思い知らされました。あーあ…。

【取り皿のポジション】
 これも2回目の現場でのこと。前にもちらっと書きましたが、森の中のロケということもあって、みんなが落ち着いてゆっくり食べられるっていう環境じゃなかったんです。いわゆるリサーチ不足。そこへ持ってきて、初めて顔を合わせる役者さん同士もいたりして、そんな時に取り皿を配って「みなさんご自由にどうぞ」って言ったって、どうしても遠慮してしまう方もいる。その時はスタッフがお皿に煮物だのお漬物だのを取り分けて配りましたが、テーブルのない立食パーティみたいな状況でお弁当のパックとお皿と…なんて持てるわけがない。「ありゃあ、こりゃ失敗したな」と思ったけど遅かった。事前のロケハンの結果さえ聞いておけば、もう少し対処できんだよなーと反省ました。車があったら簡易テーブルくらい持って行けるんだけど、そうなると帰りに飲めないしなぁ…なんて思ったり。…あ!どうせモノ書きなんて現場じゃ何の役にも立たないし、一回帰って出直して来ればいいのか!…ってその前に車もないじゃん!…あれ?何か話ずれてます?

【わかめ違い】
  これは3回目の時。クランクアップの前夜、カントクから「明日のお昼を…」と発注があり、急遽スーパーに走ったまではよかったんですが、おむすびに混ぜるわかめの買い置きがあったかどうかをふとスーパーの棚の前で考え込んでしまった私。「確か棚の上のほうにそれっぽいのがあったよなぁ…」とうろ覚えの記憶をたよりに買い物を終え、家に帰って棚を見ると確かにある。「よしよし」とその晩はお米を研ぎ、下ごしらえをして寝てしまいました。そして翌朝、炊き上がったごはんにわかめを入れてみたら…。
「混ざらない!!!」
なんとそれはおむすび用ではなく、ただの「ふえるわかめちゃん(ィ理研食品)」だったのです。あったかごはんに混ぜるだけ〜♪のじゃなくて、お味噌汁の具にするとおいしいほう。だから、いくら待ってもわかめは硬いまま…。
5合分のごはんを丸ごと捨てるわけにもいかず、クソ忙しい朝っぱらから、ごはんに混ざった中途半端なわかめを一個づつ取り出さなくてはならないハメになったのです。取り出されたわかめたちは精一杯の抵抗!とばかりにシンクの中でどんどん増えて、いつしか得体の知れないブキミな物体に。今思い出してもぞっとする、とってもホラーでミステリーなできごとなのでありました。

【米一揆】
  これも同じく3回目の時。ごはんの中から微妙にふやけたわかめを摘み出しながら、イヤ〜な予感が私を襲いました。「もしかして…ごはん足りないんじゃ…」
だってほら、わかめにくっついて出て行く分、ごはんも少しつづ減ってっちゃうから。 急いでもう一回ごはんを炊こうとして米びつを開けたとき、嫌な予感は的中。
「こ…米がない!!」
厳密に言えばまったく空っぽってわけではなかったけれど、あと5合は欲しいのにどう見ても3合ちょっと。かといってその時間ではどうにもならず、なんとか5合+3合−わかめにくっついた分…で10人分を仕立てましたが、できたおむすびは20個ぎりぎり。男性陣としては物足りなかったことと思います。その日のロケが早上がりで、そのまま打ち上げっていうスケジュールじゃなかったら米一揆が起きてたかも知れない…。やっぱり事前の確認は大事!と冷や汗をかいた一日でした。

  これをご覧になって下さっている皆さまはこんなアホな失敗されないと思いますが、忘れた頃にやって来る、地震カミナリ火事オヤジ、みたいな落とし穴に落ちないためにも、どうぞ事前の確認は念入りに!
…というわけで次回は「突撃!現場のひるごはん(
©ネスケ?)」をお送りします。(つうかわかめの種類くらい確認しろ私…)


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