■そしてこれからのユメ!
相方とはね、別々のグループだったんですよ。
僕は5人グループでやってて。最初3人だったんですよ。
で、ウケないんで一人ずつ増やしてったんですね。
僕がリーダーだったんですけども、5人でウケないんで6人にして。6人でもウケないから7人にして。
オカマもいたしね、モデルもいたしね。もう異色軍団でしたね。
で、ライブ行くじゃないですか。
楽屋に入れないんですよ。
打ち合わせもできたもんじゃないから。メンバーの一部が楽屋入ってあとは外だから。
先輩芸人とかに「おーリーダー、今日はどういうネタだ?」とか聞かれても答えらんなくて。
一度ライブで、お客さんがクスってウケたんですよ。ほんとちょっぴり。
それで盛り上がって乾杯ですよ。
面白いもんで、芝居やってて笑いが取れて勘違いしてお笑い行っちゃうんですよ。
そしたら笑いがとれなくなる。
芝居だと取れる笑いが、お笑いだととれない。 そんな人がいっぱいいる。
相方は暗ーいコンビで、俺らはパワーだけがとりえのコンビをやってた。
舞台でね、思いっきり壁壊しちゃうような。
壁にぶつかって、今までで一番、ってくらい笑いとって、あとで罰金7万円くらいとられて。
そういうの見て、こいつはいいなーって思ってたらしくて。
である時、コンビ組まない?って話があって。それまでは笑いのとれない7人組のリーダー。
でも面白いもんでね、二人で組んで初舞台で、もう爆笑だった。
タイミングとか人の組み合わせってありますよね。
今でも時々話すんですよ。俺らはコント、そんなに練習しなくても、すぐにぴったり息があったねって。
きっとコントの天才なんだろうね、って。笑
今でも会ったら5分後にはコントできるしね。
で、何が足らなかったかって言うと、欲がなかったねって。
欲がなかったから、うまく世渡りして行く連中に置いてかれちゃった。
売りにいく、っていう欲。
今の時代、頭が必要で、頭がいいかもしくは、かたくなに面白いものを作り続けて行くって言う無邪気さ。
僕達は中途半端になっちゃった。
かたくなに面白いものも作りたいけど売れたいし、お金もほしい。 そうすると、どこにも行き場がない。
そこをひとつに決めれば良かった。
俺が面白いものを作るだけ。金は誰かが持って来てくれる。
俺らは全部やろうとしちゃった。
舞台立ってるから、見えちゃう。お客さんから。そういうのって出ちゃうから。そこがよくなかった。
俺らは面白いもの作るから金出してよ。そういうスタンスでいればよかったね。
なんか目標が定まんなくなっちゃった。
途中で芝居やり出したり司会の仕事しちゃったり。相棒は作家になっちゃったり。
だからバランス崩しちゃった。互いに引っ張ってた。
自分達は、お笑いを通じて何をやりたいか、 例えば、いい漫才師になりたいのか。だったらとことんライブだけ出る。そしたら、テレビの話が来たって、まだ早いって言えるわけですよ、自然と。
今俺、殺陣やってんですけどね。
、夢なんですけど、50超えたら海外で殺陣の教室やりたいなって。
しばらく去年から忙しくて。生活すんのに。
そしたら、まったく考えられなくなったってて、夢とかやりたいこととか。映画のこととかね。
生活のことなんか考えずに役者を続けたらどうですか?ってある時メールが来て。
でも、生きていてこそ役者だから、ってメールを返したんですよ。
生活のことでいっぱいで、おもしろいこととかまったく考えらんない。
で、お金はなかったけども無理してハワイ行ってきたんですよ。
何も考えずに12日間を過ごしてきたんです。
その時に、あ、文化っていいなって思ったのね。
ハワイのライブとか見に行って。 観光ルートじゃなくて自分のペースで車で見て回ってきた。
だからいろんなとこ見れるじゃないですか。現地の生活とか、風習とか。
で、ふと幸せだなって思って。自然の中で。
僕は山形で育って、自然はいっぱいあるんですけど、ハワイの自然はまた違う。なんだか空を見てる感じだった。
その中で仕事ができたらいいなって思った時に、ここで殺陣塾やりたいなって思ったんです。
帰ったらまた殺陣やりたいなって思った。
それで、殺陣を再開した。
帰って殺陣塾のメンバーに、ハワイで殺陣塾やりたいって言っちゃったんです。
そしたらそのメンバーの中にハワイに土地を持ってるやつがいて。そこ使おうよ、って話になった。
で、その人もアーティストで、ハワイでライブをやってる人。
すぐに盛り上がって、来年やりましょうよって話になって。
で俺、ちょっと待って下さい、って言ったんですよ。
昔の俺だったらすぐにやりましょう!ってなったと思うんだけど。 再来年にしませんか?って。
見せれるものはそれでもギリギリかなと。
初めてその時に、あ、自分変わったなって。
コントの時もそのやり方をとるべきだったな、って。なんか浮ついた話が来た時に、来年まで待って下さいって言って、その時までに準備する。最高のものを準備して、お見せする、っていう。
昔はそういうことができなかったなって。俺もちゃんと考えられるようになったなって。
俺は自分が言ったこと、自分の変化にちょっと感動した。
その人は全然感動してないですけどね。
だから再来年(※この収録は2004年末)、異国の人に僕らの殺陣を見てもらうんですよ。
師匠の殺陣はもちろん大丈夫ですよ。でも俺のはまだまだ。
だから間に合わすために今一生懸命ですよね。
毎日木刀にぎって、時間見つけて公園とかで振ってますよ。
ハワイでお捻りもらえるワザを身につけよう。まずハワイで公演を成功させよう。で、次はどこ、その次はどこ。
いくらかかる。どのくらいの旅費になる。 …
これが決まってから、すごく自分が楽になった。
殺陣を見せるってのは、文化を伝えること。
殺陣を見せて、いずれはそこにコメディーも入れていきたいなと。
そんな夢がある。
ひとつの、目指すものが決まったから、気持ちに余裕が出てきて。
そしたら監督から電話がかかってきたんですよ。「映画やりませんか?」って。
気持ちが自然と、やりましょうか、ってなったね。
(※)梅津直人さんはエルビスというお笑いグループを組んで活動中。 |