■キャバクラの営業
これもキャバクラの営業の話なんですけどね。
暗くてね、一個一個の椅子がバラバラに置いてあるとこがある。
ラブシートっていうのね。
そういうのが離れて置いてあって、そこに店の女の子とお客さんがいるわけよ。
でろうそくが灯ってて。
その一個一個ね、席の前に行ってネタをやってくれっていう。
で、もういい感じな訳ですよ、そのキャバクラ嬢と客が。
いい感じな所に、
俺らは「はいどうもー♪」っていくわけですよ。
いい感じな所だから、「なんだこのやろー」って。
「いや、どうもー♪」
「赤っかい服着やがってこのやろー」
「コントグループ・エルビスでーす。」
「うるせんだこのやろー」
「ネタやらないと金もらえないんで。」
「お前、分かってんだろーが、いいとこなんだよこのやろー。」
「ネタやらないとギャラもらえないんで、一本だけ見て下さい。」
「早くやれよこのアホ! 」
「ショートコント〜」って、何かやるわけですよ。
その時は、草履を懐に入れてあっためて、ってやつをやったわけですよ、信長と秀吉の。
そのエピソードのパロディーで、この草履をこうやってあたためておけば、出世できる、と。
で、将軍様が来て、「将軍様将軍様」って俺が言うわけですよ。
そしたら将軍様が
「昨日、わしの草履が盗まれおってな」って。
「まさかおぬしではあるまいな」
そしたらその客、その話自体知らない。
「あんだこりゃー」って。
「はい行け行けーっ」
「ありがとやんしたー」って。
そんでまた違う席に行ったわけ。
そしてまた邪魔扱いされて。
そうやってとりあえず10か所くらいまわって。
で、すごいシーンとした中で帰ってくるんですよ。
ありがとやんしたーっていう声だけ響いて。
店の女の子だけが手を叩いてくれて。
「あ〜おもしろかったぁ〜」って。
で、わーやっと最後の席だー。って。
「ショートコント『タクシー』」
「ハイ!タクシー!」
「ハァーイ♪」
そういうんじゃねえよー。っていう。
全然受けない。
笑える状況じゃないんですよね、あっちばっかりたてちゃって。
性欲に笑いは勝てないですよ。
オーナーはすごい厳しくて、ちゃんとやってるか見てんですよ。
で、ギャラもらって
「なあ、つまんねんだよお前ら」って…
(※)梅津直人さんはエルビスというお笑いグループを組んで活動中。 |